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持久走大会の練習方法|小学生のタイムが上がる4週間メニューと家庭のサポート

2026/08/22 | 競技別

結論から言うと、小学生の持久走大会で結果を変えるのは、走り込みの量ではなく「ペース配分」と「週2〜3回・1回5分の練習」です。そして、それを支えられるのはコーチではなく家庭です。

11〜12月に持久走大会・マラソン大会を行う小学校は多く、9月・10月は準備を始めるベストタイミング。この記事では、大会1か月前からの4週間メニュー、失速しないペース配分、走るのが苦手な子への関わり方、前日・当日の準備までをまとめました。陸上をやっていない子でも、今日から家庭で実行できる内容だけに絞っています。

持久走大会で差がつくのは「走力」より「ペース配分」

持久走大会の順位は、足の速さだけでは決まりません。長距離指導の専門家が口をそろえて言うのは、「同じペースで走り切った子がいちばん良いタイムを出す」ということです。

スタート直後、小学生はほぼ全員が飛ばします。周りにつられて前半を全力で走り、後半に失速して抜かれていく。持久走大会の典型的なパターンです。逆に言えば、前半を我慢できるだけで、練習量が同じでも順位は大きく変わります。

だからこそ親の役割は「もっと走り込ませること」ではなく、子供が自分のペースを知り、守れるように手伝うこと。ここから紹介する練習は、すべてこの一点に向かっています。

大会1か月前からの4週間メニュー(週2〜3回でいい)

「毎日走らせないと」と思う必要はありません。日本陸上競技連盟の「小学生の長距離・持久走についてのガイドライン」によると、小学生のトレーニング頻度は週2〜3日、1日の総走行距離は5km以内が目安とされ、持久力向上には「5分間走」が勧められています。理由は、心肺への負担(苦しい時間)が短く、フォームが崩れない時間だからです。

週 練習内容(週2〜3回) ねらい
1週目会話できる速さのスロージョギング5分「走る=楽しい」に慣れる
2週目5分間走×1〜2本(間は歩いて休憩)同じペースを保つ感覚を作る
3週目本番と同じ距離の試走1回+5分間走自分のペースを体で覚える
4週目
(大会週)
軽めの5分間走を2回、前日は休みか軽いジョグ疲れを残さず本番へ

1回の所要時間は準備運動を入れても15分ほど。夕方や休日の朝に、親子で公園に行くだけで実行できます。ポイントは「速く」ではなく「同じ速さで5分」。タイムは測らなくて構いません。

なお、同ガイドラインでは全力ダッシュを繰り返すような無酸素性運動は小学生には避けるべきとされています。「ラスト全力で3本!」のような追い込みは、家庭練習には不要です。

呼吸とフォーム|小学生が意識できるのは2つだけ

フォームの注意点を並べても、走っている本人は覚えていられません。声をかけるなら、効果が大きい次の2つに絞りましょう。

① 苦しくなったら「大きく吐く」

呼吸が乱れたとき、子供は吸おうとします。でも実際は、吐き切れば自然に吸えます。「苦しくなったら、フーッと大きく吐いてごらん」。練習中にこの一言をかけるだけで、呼吸の立て直し方を体で覚えます。

② ひじを後ろに引いて、軽く振る

徒競走のように腕を大きく振ると、肩に力が入ってすぐ疲れます。ひじを後ろに引く意識で、手は生卵を持つくらい軽く握る。背筋が伸びて呼吸もしやすくなります。「腕を振れ」ではなく「ひじを後ろにね」と伝えるのがコツです。

前半飛ばして失速する子への処方箋

「練習ではいいのに、本番はいつも後半歩いちゃう」。この相談は本当に多いです。原因は本人の根性ではなく、自分のペースを体で知らないことにあります。

処方箋は3つ。まず、3週目に本番と同じ距離を1回試走すること。「このくらいの余裕ならゴールまでもつ」という感覚は、走ってみないと身につきません。

次に、「最初の1周は抜かれてもいい」というルールを親子で決めること。抜かれることを事前に「作戦のうち」にしておけば、本番で焦りません。

最後に、目印作戦。「あの鉄棒までは我慢、そこから少しずつ上げる」のように、コースの目印とセットでペースを決めておくと、小学生でも実行できます。

OKの声かけ

「最初の1周を我慢できたら勝ちだよ」「抜かれても作戦通りだからね」「あの角までは今のペースでいこう」

NGの声かけ

「スタートで出遅れるな」「前についていけ」「なんで後半歩いたの」

走るのが嫌いな子・苦手な子への関わり方

持久走が苦手な子に「順位を上げよう」と言っても、動けません。まず必要なのは、「走る=苦しい」というイメージをほどくことです。

参考になるのが、岡山大学が小学生を対象に行ったスロージョギングの実践研究です。歩くより少し速いくらいのペース(時速4km・8分間)で、会話しながら走る授業を行ったところ、すべての学年で持久走への意識が「楽しい」「気持ちいい」という肯定的なものに変化したと報告されています。

家庭でやるなら、親子でおしゃべりしながらのスロージョギング5分から。息が上がらない速さなら、運動が苦手な子でも「走り切れた」という成功体験になります。目標も「順位」ではなく「最後まで歩かずに完走」に置き換えましょう。完走できたら、それは立派な自己ベストです。

OKの声かけ

「歩かないで走り切れたね、それが一番すごいよ」「先週より長く走れたじゃん」「お母さんと競争じゃなくて、おしゃべりしながらでいいよ」

NGの声かけ

「もっと速く走れるでしょ」「〇〇ちゃんはもっと頑張ってるよ」「ビリだけは嫌だよね」

前日と当日朝の準備|食事・持ち物・寒さ対策

前日にやること

前日の練習は休みか軽いジョグだけ。それより①爪を切る ②履き慣れた靴と靴下を用意する ③いつもより早く寝る、この3つが確実にタイムに効きます。新しい靴を前日におろすのは靴ずれのもとなのでNGです。

当日の朝ごはん

長距離指導者のアドバイスでは、当日の朝食はスタートの3時間前までに食べ終えるのが理想とされています。中身はおにぎり・うどんなどの炭水化物を中心に、すぐエネルギーになるバナナ、胃腸の調子を整えるヨーグルトなど。「力をつけさせたい」と量を増やすのは逆効果で、お腹が重くなって走れなくなります。

寒さ対策

11〜12月の大会は、待ち時間の冷えが大敵です。脱ぎ着しやすい上着を持たせ、スタート直前まで羽織らせておきましょう。出番の前に、その場で軽くジャンプしたり肩を回したりするだけでも、体が動きやすくなります。

順位が全てにならない目標の立て方【OK/NG声かけ例】

「去年より順位を上げようね」。応援のつもりのこの一言が、実はプレッシャーになります。順位は相手次第で変わる、本人にはコントロールできない目標だからです。目標にすべきは、本人の行動だけで達成できるもの。

×順位の目標 ○行動の目標
10位以内に入る最初の1周は抜かれても我慢する
去年より順位を上げる最後まで歩かずに走り切る
〇〇くんに勝つ同じペースのままゴールする

行動の目標なら、順位が何位でも「できたか・できなかったか」を本人が判断できます。そして達成できれば、順位に関係なく自信になります。ゴール後の第一声も「何位だった?」ではなく「最後までペース守れたね」。親がどこを見ているかが、子供の来年のやる気を決めます。

OKの声かけ

「最初の1周を我慢できたら勝ちだよ」「順位じゃなくて、自分の走りができたかだよ」「去年の自分と競争しよう」

NGの声かけ

「去年より順位上げようね」「〇位以内に入れなかったら練習不足だよ」「あの子には負けないで」

今日からできる3つの行動

① 親子で5分だけスロージョギングする。おしゃべりできる速さで十分。今日の5分が4週間メニューの1回目になります。

② 本番の距離を確認し、行動目標を1つ決める。学校からのお知らせで距離を確認し、「最初の1周は我慢」など行動の目標を親子で1つだけ決めましょう。

③ 靴のサイズをチェックする。子供の足はすぐ大きくなります。つま先やかかとが窮屈になっていないか、今夜確認を。買い替えるなら本番の2週間以上前に。

まとめ|親が整えるのは「ペース」と「気持ち」

持久走大会の練習は、週2〜3回・1回5分で十分です。鍵はペース配分。試走で自分のペースを体感させ、「最初の1周は我慢」を合言葉にし、目標は順位ではなく行動に置く。前日は早寝、当日はおにぎりとバナナ。これだけで、子供の走りは変わります。

そしてゴールの先で待つ親の一言が、来年の持久走を楽しみにできるかどうかを決めます。順位ではなく走り方を見て、「我慢できたね」「歩かなかったね」と伝えてあげてください。親の一言で、結果は変わります。

よくある質問

持久走大会の練習は毎日走らせたほうがいいですか?

毎日は必要ありません。日本陸連のガイドラインでは、小学生の持久系トレーニングは週2〜3日が目安とされ、1日の総走行距離も5km以内が推奨されています。走らない日は外遊びや縄跳びで十分です。休む日があるほうがケガを防ぎ、走ることを嫌いにさせません。

練習の途中で歩いてしまいます。どうすればいいですか?

距離ではなく「5分間」という時間で区切ってみてください。ゴールが時間なら、速さを落とせば最後まで走り切れます。「速く」ではなく「止まらずに」を合言葉にして、走り切れたこと自体を認めてあげると、少しずつ歩かずに走れる時間が伸びていきます。

持久走大会の前日は練習させるべきですか?

前日は休むか、5分程度の軽いジョギングまでにしましょう。前日に頑張っても走力は上がらず、疲れだけが残ります。それより爪を切る、靴と靴下を確認する、早く寝る、の3つが当日のタイムに直結します。新しい靴を前日に買うのは靴ずれのもとなので避けてください。

大会当日の朝ごはんは何を食べさせればいいですか?

スタートの3時間前を目安に食べ終えるのが理想です。おにぎりやうどんなどの炭水化物を中心に、バナナやヨーグルトを添える程度で十分です。「力をつけよう」と食べ過ぎると、お腹が苦しくて走れなくなるので量はほどほどに。普段食べ慣れたものを選びましょう。

順位が悪くて落ち込んでいたら、何と声をかければいいですか?

順位ではなく、本人がコントロールできた部分を具体的に認めてください。「最後まで歩かなかったね」「最初の1周、我慢できたね」など、走り方の中身を言葉にします。順位は相手次第で変わりますが、走り方は本人の努力そのものです。そこを見てもらえた子は、来年も前向きに走れます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療・専門的指導の代わりになるものではありません。お子さんの心身に気になる様子がある場合は、専門家にご相談ください。