結論から言います。ジュニア期の食事は「主食・主菜・副菜・牛乳乳製品・果物」の5つをそろえ、しっかり食べることが最強のサポートです。特別なサプリより、毎日の3食と補食で十分な量と栄養を満たすこと。それが成長と試合本番の力につながります。
この記事では、成長期アスリートに必要な栄養、1日の献立例、試合前後の食べ方、不足しやすい鉄・カルシウム、夏の食欲対策までを、家庭で続けられる形でまとめました。打ち方・走り方は教えません。「親が食卓でできること」だけに絞ってお伝えします。

なぜジュニア期は「しっかり食べる」が最優先なのか
スポーツをする子どもは、運動で使うエネルギーだけでなく、身体を成長させるためのエネルギーも必要です。つまり、運動していない子より多く食べる必要があります。
公益財団法人スポーツ安全協会(管理栄養士・小澤智子氏監修)によると、1日に使うエネルギーは「①生命維持」「②身体活動(通学・遊び・スポーツ)」「③食事の消化」の3つに大きく分かれます。食事からのエネルギーが不足し続けると、成長への影響や、練習でバテやすくなるなどパフォーマンス低下につながると指摘されています。
ここで大切な考え方があります。日本スポーツ栄養協会(SNDJ)のセミナーで公認スポーツ栄養士・関根豊子氏は、エネルギーは①生きるため・生活②発育・発達③運動の順で使われると説明しています。食べられる量には限界があるため、食が細い子にたくさん運動をさせると、成長に回すエネルギーが足りなくなることもあるそうです。
だからこそ、技術練習の前に「今日も3食しっかり食べられたか」を見てあげること。これが親にできる一番の土台づくりです。
成長期アスリートに必要な栄養|「5つをそろえる」が合言葉
栄養素を計算するのは大変です。スポーツ安全協会は、難しい計算をせずにバランスを整える方法として、次の5種類をそろえて食べることをすすめています。
- 主食(ごはん・パン・麺)…身体と脳を動かすエネルギー源(炭水化物)
- 主菜(肉・魚・卵・大豆製品)…筋肉・骨・血液をつくる材料(たんぱく質)
- 副菜(野菜・いも・きのこ・海藻)…体調を整える(ビタミン・ミネラル)
- 牛乳・乳製品…骨をつくるカルシウムとたんぱく質
- 果物…ビタミン・ミネラルとエネルギー源
毎食すべてをそろえるのが理想ですが、難しい日もあります。その場合は1日のなかで、それも難しければ数日かけて、足りない種類がないように整えればOKです。完璧より「続けること」を優先しましょう。
品数を増やすのが大変なときは、1品で主食・主菜・副菜がそろうメニューが便利です。たとえばカレーライス、ほうれん草入り親子丼、具だくさんの冷やしうどんなど。汁ものに具をたっぷり入れるのも、作る側・食べる側の両方がラクになるコツです。
1日の献立例|朝・昼・夕・補食の組み立て方

「何を食べさせれば?」に即答できるよう、5つをそろえた1日の例を示します。量や品数はお子さんの食欲に合わせて調整してください。
朝食(特に重要)
スポーツをする子は、朝からエネルギー源の主食をしっかりとるのがポイントです。例:ごはん+納豆と卵(主菜)+ミニトマトとわかめの味噌汁(副菜)+ヨーグルト(乳製品)+バナナ(果物)。前夜のおかずを多めに作っておくと、朝が一気にラクになります。
昼食(給食または弁当)
給食ならほぼ5つがそろいます。弁当のときは、ごはん+鮭やから揚げ(主菜)+ブロッコリーやひじき(副菜)+果物を少々。乳製品は朝・補食で補えば十分です。
夕食(1日の不足を埋める)
例:ごはん+鮭の照り焼き(主菜)+小松菜と厚揚げの煮びたし(副菜)+豚汁(副菜)+ヨーグルト+りんご。日中に果物や乳製品が少なかった日は、夕食やデザートで補いましょう。
補食(3食で足りない分を補う「第4の食事」)
補食はお菓子ではなく、足りない栄養を補う軽食です。バナナ+ヨーグルト、おにぎり、チーズ、果物など。練習前後の使い分けは次の章でくわしく説明します。
試合前・練習後に食べたいもの|補食の使い分け
SNDJの公認スポーツ栄養士・関根氏は、運動前後で補食の中身を変えることをすすめています。タイミングは、食事から練習まで時間が空くときや、練習後から食事まで時間が空くときが目安です。
練習・試合前は「糖質中心」
エネルギー補給と集中力アップが目的。消化がよく、すぐ力になる糖質を選びます。例:おにぎり、パン、バナナ、100%ジュースなど。脂質の多い揚げ物は消化に時間がかかるので直前は避けます。
練習・試合後は「糖質+たんぱく質+脂質」
疲労回復と、運動で壊れた筋肉などの修復が目的。使った糖質を戻し、たんぱく質で身体を立て直します。例:おにぎり+牛乳、サンドイッチ、いなり寿司など。できれば運動後はなるべく早めにとりましょう。
注意点として、動けなくなるほどの量や、次の食事が食べられなくなる量はNGです。小学生は自分で量を判断するのが難しいため、補食の量とタイミングは親がコントロールしてあげてください。
不足しやすい鉄・カルシウムの補い方
成長期のアスリートが特に意識したいのがカルシウムと鉄です。どちらも骨や血液に関わり、不足するとコンディションや成長に影響します。
カルシウム|骨の成長と筋肉の働きに必須
スポーツ安全協会によると、小学校高学年から中学生に推奨されるカルシウム量は、大人と同等以上です。身長の伸びが落ち着いた後も、骨を強くする大切な時期が続きます。
牛乳・乳製品が給食だけになっていないか振り返ってみましょう。シチュー、グラタン、ピザなど好きなメニューで取り入れるのも手です。乳製品のほか、大豆製品(豆腐・納豆・厚揚げ)、骨ごと食べる小魚、青菜、海藻にも多く含まれます。吸収を助けるビタミンDが多いさけ・さんま・いわし・きのこも一緒にとると効果的です。
鉄|貧血・持久力低下を防ぐ
成長期は身体が大きくなる分、血液をつくる鉄の必要量も増えます。汗でも失われやすく、不足すると疲れやすさや持久力の低下につながることがあります。赤身の肉・魚、レバー、あさり、ほうれん草、ひじきなどを意識し、吸収を高めるビタミンC(果物・野菜)と組み合わせるとよいでしょう。
夏の食欲低下・体重減少への対策
夏は食欲が落ちやすく、知らないうちに体重が減ることがあります。エネルギー不足は夏バテやケガのもと。次の工夫で「食べられる量」を確保しましょう。
- のどごしのよい麺類(冷やしうどん・そうめん)に卵や肉、野菜をのせて栄養を底上げ
- 冷たい飲み物の飲みすぎで満腹にしない。食事のエネルギーを優先
- 1回で食べきれないときは、補食で回数を分けてエネルギーを確保
- すっぱい味(梅・酢の物)や薬味で食欲を引き出す
- 練習後はまず糖質を。果物や100%ジュースは水分とエネルギーを同時に補える
体重がじわじわ減る、練習後にぐったりして食べられない日が続く――こうしたサインが続くときは、運動量が食べられる量を上回っているかもしれません。練習量と食事のバランスを見直してみてください。
食事まわりのOK声かけ・NG声かけ例
栄養と同じくらい大切なのが、食卓の空気です。「食べなさい」という圧は、食事を嫌な時間に変えてしまいます。親の一言で、食事は「楽しい・前向きなもの」に変わります。
| 場面 | NG声かけ | OK声かけ |
|---|---|---|
| 食が進まないとき | 「もっと食べないと大きくなれないよ」 | 「今日はどれなら食べられそう?」 |
| 少ししか食べないとき | 「それだけ?そんなんじゃ試合で負けるよ」 | 「あと一口、ごはんだけ足してみようか」 |
| 好き嫌いがあるとき | 「好き嫌いばかりでわがまま」 | 「この野菜、どうやって食べたら食べやすい?」 |
| しっかり食べたとき | 「(無反応)」 | 「よく食べたね、これが強い身体をつくるよ」 |
| 試合前で緊張しているとき | 「食べないと力が出ないでしょ」 | 「おにぎりだけでも持っていこうか」 |
ポイントは、量を責めず、選択肢を渡すこと。そして食べられたら必ず認めること。「食べること=親に褒められる前向きな行動」と結びつくと、自然と食べる量が増えていきます。
今日からできる3つの行動
- 朝食に主食をしっかり足す…まずは朝のごはん・パンの量を見直す。エネルギー切れを防ぐ第一歩。
- 練習バッグに補食を1つ…おにぎりかバナナを持たせる。前は糖質、後はたんぱく質も意識。
- 食べたら言葉で認める…「よく食べたね」の一言を毎日。食卓を前向きな時間にする。
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ジュニアアスリートはどれくらいの量を食べればいいですか?
身体は小さくても、運動する子は大人より多くのエネルギーが必要なことがあります。SNDJの試算例では、運動をする10歳・男子・体重35kgで1日約2,200kcal(厚生労働省『日本人の食事摂取基準2020年版』の基礎代謝基準値をもとに計算)。ただし個人差が大きいため、量が合っているかは身長・体重の変化で確認するのが基本です。
サプリやプロテインは必要ですか?
小学生年代は、まず3食と補食でしっかり栄養をとるのが基本です。普通の食事で必要な栄養はそろえられます。サプリありきにせず、食事で足りない場合に専門家へ相談しましょう。
朝、食欲がなくて食べてくれません。どうすれば?
まずは負担の少ない主食(おにぎり・バナナ・パン)からで大丈夫です。前夜のおかずを朝に回す、納豆やミニトマトなど調理いらずの食品を使うと続けやすくなります。少量でも「食べられた」を積み重ねましょう。
試合当日は何を食べさせればいいですか?
試合前は消化がよく力になりやすい糖質中心に。おにぎり、パン、バナナ、100%ジュースなどがおすすめです。脂っこいものは消化に時間がかかるため直前は避けます。試合後はなるべく早く、糖質+たんぱく質(おにぎり+牛乳など)で回復を助けましょう。
好き嫌いが多くてバランスがとれません。
1食で完璧を目指さず、1日〜数日単位でそろえばOKです。苦手な野菜は汁ものやカレーに混ぜる、好きなメニュー(グラタン等)で乳製品をとるなど、形を変える工夫が有効です。食べられたら責めずに認めることが続けるコツです。
夏に体重が減ってしまいます。問題ありますか?
暑さで食欲が落ち、エネルギー不足になっているサインかもしれません。麺類に具を足す、補食で回数を分ける、練習後に糖質をとるなどで対策を。体重減少や食べられない日が続く場合は、運動量が食べられる量を上回っていないか見直しましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療・専門的指導の代わりになるものではありません。お子さんの心身に気になる様子がある場合は、専門家にご相談ください。


