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秋のウォーミングアップで子供のスポーツのケガを防ぐ|気温が下がる時期に家と会場でやること【夏との違い・会場30分タイムテーブル・朝一番の試合の逆算・待ち時間の保温・OK/NG声かけ例】

2026/09/27 | 身体づくり・コンディション

秋のウォーミングアップで子供のスポーツのケガを防ぐ鍵は、「夏のアップをそのまま使わない」ことです。気温が下がる10月以降に肉離れや捻挫が増えるのは、寒さそのものより、夏と同じ短い準備を使い回しているのが原因です。この記事では、寒い日に体の中で何が起きているのか、会場での順番と所要時間、朝一番の試合の逆算、待ち時間の保温まで、親が家と会場でできることを具体的に解説します。

「夏はあんなに動けていたのに、最近は試合の立ち上がりが重い」「朝一番の試合でいきなり足を痛めた」「グラウンドで待っている間、ずっと肩をすくめている」。10月に入ると、こうした声が急に増えます。

市大会、県大会と勝ち上がるほど、秋の大会は早朝スタートが増えます。ベスト8以降は「第1試合・9時開始」が当たり前です。朝8時の気温が10度を切る日も出てきます。夏の感覚のままだと、体が動く前に試合が始まってしまうのです。

この記事の要点

  • 秋のケガは「寒さ」ではなく「夏の準備の使い回し」で起きる
  • 筋温が低いと柔軟性と可動域が落ち、肉離れ・捻挫のリスクが上がる
  • 会場でのアップは夏の10〜15分から、秋冬は20〜30分に延ばす。順番は「歩く→動かす→競技の動き」
  • 朝一番の試合は「起床から2時間半〜3時間後」に開始が来るよう逆算する
  • 待ち時間は「首・手首・足首」を隠し、脱ぎ着で温度を管理する
  • 親がやるのは指導ではなく、時間割・服・声かけの準備

まず結論|秋のケガは「寒さ」ではなく「準備の使い回し」で起きる

夏のウォーミングアップは、正直なところ雑でも何とかなります。気温30度なら、軽く走れば5分で汗が出ます。筋肉はすぐ温まり、関節も動きます。

ところが10月に入ると、同じメニューでは体が温まりません。それでも多くのチームや子供は、夏と同じ「ジョグ2周+足首まわし+開脚」で試合に入ります。準備の量を変えていないのに、環境だけが変わっているのです。

ここで大事なのは、ケガの原因を「寒いから仕方ない」で終わらせないことです。寒さは変えられません。しかし、準備は変えられます。変えられる方に目を向けるのが、親の役割です。

もう一つ、親が知っておきたい事実があります。秋のケガの多くは「試合開始直後の数分」と「長い待ち時間のあと」に起きます。どちらも、体が冷えている時間帯です。つまり、ケガの多くは競技スキルではなく「体温の管理」で防げるということです。

今日やること:お子さんに「今のアップ、夏と何か変えてる?」と一言聞いてみる。変えていなければ、この記事の続きが役に立ちます。

気温が下がると体に何が起きるのか

「寒いとケガしやすい」は誰でも知っています。ただ、何が起きているかを親が説明できると、子供への声かけが変わります。「ちゃんとアップして」ではなく、「筋肉を温めてからね」と言えるようになるからです。

筋温が下がると、柔軟性と可動域が落ちる

日本スポーツ協会(JSPO)公認アスレティックトレーナーの岡戸敦男氏は、JSPO Plusの記事によると、気温が低いと筋温(筋肉の温度)も下がり、筋肉は固まって本来の柔軟性を失った状態になると解説しています。関節の可動域も筋肉の柔軟性に影響されるため、イメージ通りに体が動かなくなります。

この状態で急に運動を始めると、筋肉や関節に負荷がかかりやすく、肉離れや関節痛、腱の炎症といったケガのリスクが高まるとされています。つまり、「体が重い」と子供が感じているのは気分の問題ではありません。物理的に筋肉が硬いのです。

血管も縮み、体の隅々に血が回らない

寒いと血管も収縮します。手足の先が冷たくなるのはこのためです。血流が悪いと、筋肉に酸素と熱が届きにくくなります。手袋なしで待っていた子が、試合が始まっても腕を振れず、フォームが崩れる。これは根性の問題ではなく、血流の問題です。

秋は「朝と昼の差」が大きい

秋のやっかいさは、一日の中の気温差です。朝8時は10度、昼13時は22度。同じ会場でも、第1試合と第3試合では別の季節にいるようなものです。朝一番の試合だけケガが多いのは、体温も気温も一日で一番低い時間帯に試合が組まれているからです。

さらに、風の影響もあります。アスレティックトレーナーの西村典子氏によると(All About「冬に最適なウォームアップは?」)、風速が1メートル強くなるごとに体感温度は約1度下がるとされています。河川敷のグラウンドで風速5メートルなら、体感は5度低い。気温12度の日でも、体は7度の環境にいるのと同じです。

今日やること:大会当日の「朝の気温」と「風」を前日の夜に確認する。10度以下または風がある日は、この後のタイムテーブルを使う。

会場での順番と所要時間|夏との違い

ここからが本題です。会場に着いてから試合までに、何をどの順番で、何分やるか。親が直接アップを指導する必要はありません。ただ、「時間割」を知っている親は、到着時間と服の準備を変えられます。

所要時間は夏の2倍が目安

西村氏によると、夏のウォーミングアップは10〜15分程度が目安ですが、冬の寒い時期は保温機能のあるウェアを着て入念にジョギングを行い、20〜30分ほどゆっくり時間をかけるのが理想的とされています。秋はその中間ですが、朝の気温が10度台前半なら「冬扱い」で考えて問題ありません。

ここで親が変えるのは、会場への到着時間です。夏なら試合30分前の到着で間に合ったものが、秋は45〜60分前が必要になります。集合時間がチームで決まっている場合も、「アップは早めに始めたい」と本人がコーチに言えるかどうかが分かれ目です。

順番は「歩く→大きく動かす→競技の動き」

岡戸氏は、筋温が高い夏は筋肉をほぐす程度のストレッチでも大丈夫だが、冬のウォーミングアップは体を大きく動かすことを意識するよう解説しています。体を動かすと筋線維が収縮と弛緩を繰り返し、それによって筋温が上がり、柔軟性と可動域が広がるからです。

秋の会場アップを、30分のタイムテーブルにすると次のようになります。

試合前内容目安服装
40〜30分前ウインドブレーカーを着たまま、早歩き→軽いジョグ。会話ができる速さ6〜8分上下着たまま
30〜20分前動的ストレッチ。脚振り(前後・左右)、腕回し、ランジウォーク、スキップ、もも上げ8〜10分上着は着たまま。体が熱くなったら前を開ける
20〜10分前競技の動き。短いダッシュ、ジャンプ、方向転換、ボールやラケットを使った動き8〜10分上着を脱ぎ、ユニフォームに
10〜5分前整列・ベンチ待ち。その場で足踏み、肩回し。座り込まない5分待ち時間が長ければ上着を羽織り直す
直前呼吸を整える。深呼吸2回1分

ポイントは、静的ストレッチ(じっと伸ばす)を最初にやらないことです。冷えた筋肉を伸ばしても温まりません。まず歩いて走って温め、次に大きく動かして可動域を広げ、最後に競技の動きで神経を起こす。この順番が秋冬の基本です。

もう一つ。「動的ストレッチ」と聞くと難しそうですが、中身はラジオ体操第一に近い動きです。脚を前後に振る、腕を大きく回す、大股で歩く。子供が「知ってる動き」で十分です。

今日やること:上の表をスマホで撮り、お子さんと「次の試合、これで行こう」と共有する。コーチのアップがある場合は、その前の「歩く→軽く走る」だけを親子で足す。

寒い日の試合で動く小学生サッカー選手

朝一番の試合|起床から試合開始までの逆算

秋の大会で一番ケガが出やすいのが、第1試合です。気温が一日で最も低い上に、体温も起床直後は低い。二重に冷えている状態で、いきなり全力を出すことになります。

起きてから体が動くまでには時間がかかる

岡戸氏は、走る時間帯は筋温を考えると気温が高い日中が理想で、朝は筋温が低いためケガのリスクが高く、どうしても朝しか時間が取れない場合は起床後30分程度経ってからウォーミングアップを念入りに行うよう解説しています。

これは大人のランナー向けの話ですが、子供にも同じことが言えます。起きてすぐは体温が低く、筋肉も関節も動きません。「起床→朝食→移動→会場」という流れの中で、体温を段階的に上げていく必要があります。

9時開始なら、6時起床が目安

9時開始の試合を例に、逆算するとこうなります。

時刻やること狙い
6:00起床。カーテンを開けて光を浴びる。コップ1杯の白湯か常温の水体内時計を動かし、体温を上げ始める
6:10〜6:20家で5分の軽い体操(後述)。着替えは「重ね着」で寝ている間に下がった体温を一段上げる
6:30朝食。おにぎり・バナナ・温かい汁物など消化のよいもの試合2時間半〜3時間前にエネルギーを入れる
7:15出発。車内は暖かすぎない設定に着いてから寒さで縮まないように差を小さく
8:00会場到着。トイレ、荷物、上着を着たまま歩く到着直後に座り込ませない
8:20〜8:50会場アップ(前章のタイムテーブル)筋温を上げ、可動域を広げる
8:55整列。足踏み・肩回しで冷えを止める直前の再冷却を防ぐ
9:00試合開始

「6時起床はきつい」と思うかもしれません。ただ、7時に起きて8時半に会場に着き、10分のアップで9時に試合、というのが一番ケガをするパターンです。起きてから3時間で体は「昼の状態」に近づきます。逆算の起点は試合開始時刻であって、集合時刻ではありません。

朝食を抜くのも、秋は特に危険です。エネルギーが入っていないと熱を作れません。「食欲がない」なら、バナナ1本と温かい味噌汁だけでも入れる。温かいものが体の中からのウォーミングアップになります。

今日やること:次の第1試合の開始時刻から、「起床=開始3時間前」「朝食=開始2時間半前」を逆算して、前夜に家族で共有する。

待ち時間の保温|脱ぎ着と一枚の使い方

秋の大会でもう一つ盲点なのが、待ち時間です。アップで温めた体は、寒い環境ではまた冷えます。第1試合と第3試合の間が2時間空く。その間ずっとベンチに座っていたら、アップの効果はゼロになります。

隠すのは「首・手首・足首」

西村氏によると、「首」のつく部位(首・手首・足首)を外気に触れないようにすると、ウォームアップで発生した温かさが持続するとされています。ネックウォーマー、手袋、レッグウォーマーの3点セットです。

岡戸氏も、特に手袋は必ず着用するよう強調しています。手が冷えると血流がさらに悪くなって腕が振れず、フォームが崩れてケガにつながるからです。足首についても、露出していると着地の衝撃吸収がうまくできず、ケガの原因になりかねないとしています。

小学生の場合、「かっこ悪い」と嫌がる子もいます。そこはチームメイトが着けているかどうかで変わるので、親同士で「うちも持たせるね」と揃えると通りやすくなります。

厚手1枚より、薄手を重ねる

岡戸氏は、厚手のウェアを1枚着るのではなく、運動中に温度調整ができるように薄手のウェアを何枚か重ね着するのがよいとしています。理由は、脱ぎ着で調整できるからです。

秋の会場の服装は、次の3層で考えると楽です。

  • 1層目(肌):吸汗速乾のインナー。汗を吸わない綿は体を冷やすので避ける。アップ後に汗をかいたら、替えのインナーに着替える
  • 2層目(ユニフォーム):試合中に着るもの
  • 3層目(外):風を通さないウインドブレーカーか薄手のダウン。前開きで、すぐ脱げるもの

親が持つ「一枚」は、3層目の予備です。試合が終わって汗をかいた子に、すぐ羽織らせる一枚。これがあるかないかで、次の試合の立ち上がりが変わります。

待ち時間の「動き」を決めておく

保温だけでは足りません。待ち時間が30分を超えるなら、次の試合の20分前から「歩く→動かす」を短縮版(10分)でやり直します。「もう一回アップするの?」と子供は言いますが、「試合の前は温め直すもの」というルールにしておけば、揉めません。

待ち時間に座り込むのが一番冷えます。立って歩く、ボールを軽く扱う、体を揺らす。どんな動きでも、止まるよりましです。

今日やること:大会バッグに「手袋・ネックウォーマー・替えインナー・前開きの上着」の4点を入れる。前日夜に子供自身に詰めさせる。

家でできる出発前の5分

会場アップの前に、家で体を一段温めておくと、会場での立ち上がりがまるで違います。目安は5分。難しいことはしません。

  1. 階段でかかと上げ下げ(1分):段差にかかとを出して立ち、ゆっくり上げ下げ。ふくらはぎは血流のポンプなので、ここを動かすと全身が温まりやすい
  2. その場で足踏み→もも上げ(1分):最初はゆっくり、後半はももを腰の高さまで
  3. 腕を大きく回す(1分):前回し・後ろ回し・左右で違う方向。肩甲骨を動かす
  4. 脚振り(1分):壁に手をついて、片脚を前後に大きく振る。左右10回ずつ
  5. 大股歩き(1分):廊下や部屋を、一歩ずつ大きく踏み出して歩く

岡戸氏がウォーミングアップ実践編で紹介している脚のスウィング、カーフレイズ(かかと上げ下げ)、ランジウォークを、家でできる形に置き換えたものです。反動をつけて大きく動かすのがコツで、じっと伸ばすのは後にします。

ここで大事なのは、親の役割です。「やりなさい」と指示する親と、「一緒にやろう」と隣で腕を回す親では、続く確率が全然違います。5分だけです。親も一緒に動いてみてください。朝の親の体もほぐれます。

今日やること:明日の朝、出発前に親子で「かかと上げ下げ1分+腕回し1分」の2つだけやってみる。5つ全部は、慣れてから。

やりがちなNG|静的ストレッチだけで終わる

ここまでの内容を裏返すと、秋にやりがちなNGが見えてきます。「うちの子これやってる」と思ったら、その1つだけ変えてください。

  • NG1:座って開脚・前屈だけで終わる。冷えた筋肉をじっと伸ばしても筋温は上がらない。静的ストレッチは試合後のクールダウンに回す
  • NG2:会場に着いてすぐ座る。車で温まった体が、座った瞬間から冷え始める。到着したらまず歩く
  • NG3:厚手のパーカー1枚。脱ぐと一気に冷え、着ると動けない。薄手を重ねる
  • NG4:寒いから水を飲まない。秋は汗が見えないので忘れがち。岡戸氏は汗の量が少ない冬場も、運動前にコップ1〜2杯の水分補給をすすめている。常温か温かい飲み物で
  • NG5:アップ後に汗をかいたまま待つ。汗が乾くときに体温を奪う。替えのインナーに着替える
  • NG6:夏と同じ到着時間。アップに必要な時間が倍になっているのに、到着が同じでは足りない

どれも「知らなかった」で起きるものです。責める必要はありません。知った今日から変えればいいだけです。

OK/NG声かけ例|「寒くない?」を連発しない

親の声かけで秋によく出るのが、「寒くない?」「ちゃんとアップした?」「大丈夫?」の3つです。心配から出る言葉ですが、子供には「疑われている」「うるさい」と届きます。行動に落とした言葉に変えましょう。

出発前、寒そうにしている子に

NG「寒くない? もう一枚着なさい」

◯ 言い換え「今日は朝10度だって。出発前の5分体操、一緒にやろう」

「着る」より「動く」が先。体温が上がれば、服の心配は自分でするようになります。

会場に着いて、車から降りた直後

NG「ちゃんとアップしなさいよ」

◯ 言い換え「荷物置いたら、まず一周歩いてこよう。座るのはその後で」

「アップ」という抽象語ではなく、「歩く」という最初の一動作を指定すると動けます。

アップが終わって、ベンチで待っている時

NG「じっとしてないで動きなさい」

◯ 言い換え「試合20分前になったら、もう一回温め直そう。時間は見ててあげる」

「時間管理は親、動くのは子供」と役割を分けると、指示ではなく協力になります。

手袋やネックウォーマーを嫌がる時

NG「かっこ悪いとか言ってる場合じゃないでしょ」

◯ 言い換え「試合中は外していい。待ってる時だけ着けよう。手が冷えると腕が振れないんだって」

全否定ではなく「いつ着けるか」を交渉に変える。理由を添えると納得しやすくなります。

試合の立ち上がりが悪く、動けていなかった時

NG「最初から全然動けてなかったじゃない」

◯ 言い換え「今日は最初の5分、体重かった? 次はアップの時間を10分早くしてみようか」

結果を責めるのではなく、「準備の変数」を一緒に動かす。子供が自分で調整できるようになります。

試合後、汗をかいたまま次を待っている時

NG「そんな格好してると風邪ひくよ」

◯ 言い換え「上着どうぞ。着替えのインナー、バッグの右ポケットにあるよ」

注意より「渡す」。行動が完了するところまで親が段取りすると、言い合いになりません。

場面:秋の大会全体で使える声かけ

NG声かけ

  • 「寒いのはみんな同じ、我慢しなさい」
  • 「夏はあんなに動けてたのに」
  • 「ケガしないように気をつけて」(抽象的)

OK声かけ

  • 「今日は寒いから、アップを長くする日だね」
  • 「秋は準備が2倍いる季節。時間は私が見てる」
  • 「試合前に温め直す。それだけ覚えてて」

今日からできる3つの行動

ここまで読んで「やることが多い」と感じたら、次の3つだけで十分です。

  1. 次の大会の「第1試合開始時刻」から起床・朝食・到着を逆算し、前夜に家族で共有する。起床は開始3時間前、朝食は2時間半前、到着は1時間前が目安
  2. 大会バッグに「手袋・ネックウォーマー・替えインナー・前開きの上着」の4点を入れる。子供自身に詰めさせる
  3. 出発前の5分体操を、親子で一緒にやる。最初は「かかと上げ下げ+腕回し」の2つだけで構わない

どれも競技の技術には触れません。変えるのは、時間と服と言葉だけです。それでも、朝一番の試合の立ち上がりは、目に見えて変わります。

よくある質問(FAQ)

秋のウォーミングアップは、何分やれば十分ですか?

朝の気温が10度台前半なら、20〜30分を目安にしてください。アスレティックトレーナーの西村典子氏によると、夏は10〜15分程度でよいものが、寒い時期は保温ウェアを着て入念にジョギングし、20〜30分ほど時間をかけるのが理想とされています。「歩く→大きく動かす→競技の動き」の順番で、体の中からポカポカしてくる感覚が目安です。

チームのアップが短くて心配です。親が口を出していいですか?

コーチのメニューに直接口を出すより、「その前」を親子で足すのが現実的です。集合の10〜15分前に到着して、上着を着たまま歩く・軽く走るだけでも、チームアップの効果が上がります。家で出発前の5分体操をしておくのも同じ効果があります。どうしても気になる場合は、「秋は早めに着いてアップしたいと本人が言っているので、早く行かせていいですか」と本人の意思として伝えると角が立ちません。

静的ストレッチ(じっと伸ばす)は、秋はやらなくていいのですか?

試合前の最初にやるのはおすすめしません。冷えた筋肉をじっと伸ばしても筋温は上がらず、体が温まらないまま試合に入ることになります。静的ストレッチは試合後のクールダウンや、夜のお風呂上がりに回してください。試合前は、脚振り・腕回し・ランジウォークなど、反動をつけて大きく動かす動的ストレッチが基本です。

朝一番の試合なのに、子供がどうしても6時に起きられません。

起床時刻を動かせないなら、「起きてから会場までの中身」で補います。起きたらすぐカーテンを開けて光を浴び、白湯を飲む。着替えながら腕を回す。朝食は小さくてもいいので必ず温かいものを入れる。車内では寝させず、会場に着いたらまず歩く。これで7時起床でも、何もしない6時起床よりは体が動きます。それでも第1試合の立ち上がりが悪いなら、前夜の就寝を30分早める方向で調整してください。

手袋やネックウォーマーを「かっこ悪い」と嫌がります。

「試合中は外していい。待っている時だけ着ける」と、着ける時間を限定すると通りやすくなります。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーの岡戸敦男氏は、手が冷えると血流が悪くなって腕が振れず、フォームが崩れてケガにつながると解説しています。「手が冷えると腕が振れなくなるんだって」と理由を添えて伝えてください。チームメイトの親と「うちも持たせる」と揃えるのも効果的です。

秋は汗をかかないので、水分補給はいらないですか?

必要です。秋は汗が目に見えにくいだけで、体からは水分が出ています。岡戸氏は、汗の量が少ない冬場でも運動前にコップ1〜2杯、運動後も1〜2杯の水分補給をすすめています。冷たい飲み物は体を冷やすので、常温か温かい飲み物を持たせてください。温かい麦茶や薄めたスポーツドリンクを保温ボトルに入れておくと、体の中からのウォーミングアップにもなります。

まとめ:秋のウォーミングアップは「時間・服・言葉」の準備で変わる

秋のウォーミングアップで子供のスポーツのケガを防ぐために、親が競技の技術を教える必要はありません。変えるのは3つだけです。時間、服、そして言葉。

夏のアップを使い回さず、会場では「歩く→大きく動かす→競技の動き」で20〜30分。朝一番の試合は起床3時間前から逆算する。待ち時間は首・手首・足首を隠し、薄手を重ねて脱ぎ着で調整する。そして「寒くない?」の代わりに、「一緒に5分動こう」と声をかける。

筋温が低いと柔軟性が落ち、ケガのリスクが上がる。これは根性で覆せない体の仕組みです。だからこそ、仕組みを知っている親の準備が、そのまま子供の安全になります。次の大会の前夜、まず起床時刻の逆算から始めてみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療・専門的指導の代わりになるものではありません。お子さんの心身に気になる様子がある場合は、専門家にご相談ください。