帰りの車の中で、子供がぽつりと言う。「コーチ、あの子ばっかり使うんだよ」「贔屓してる」。親としては、胸がざわつく一言です。先に結論です。「コーチが贔屓してる」と言う子供に対して、親がやるべきなのは、同意でも否定でもありません。「事実を確認し、感情を受け止め、自分が動かせる領域に話を戻す」の3手順です。親が同意した瞬間に、子供の努力の矛先は消えます。否定した瞬間に、子供は本音を言わなくなります。
本記事は、子供のほうから「贔屓」と言い出したケースを扱います。親自身がコーチに不満を持っているケースはコーチに不満がある親へで扱いました。ここでの親の役割は、子供の不満を代わりに言う「代弁者」ではなく、子供の言葉を本当の意味に置き換えて返す「翻訳者」です。この線引きを最初に押さえてください。
この記事の要点
- 「贔屓」という言葉の裏には、たいてい「見てもらえていない」「認められたい」がある
- 親が同意すると、子供の努力の矛先が「自分」から「コーチ」に移り、伸びが止まる
- 返し方は「事実確認→感情の受け止め→自分の領域へ」の3手順。今日から使える
- 本当に不公平かは、3つの基準(継続性・複数の声・安全や人権)で見極める
- 「評価者は変えられない、自分の行動は変えられる」は中学以降も使える考え方になる
結論|同意も否定もせず、「動かせること」に話を戻す
子供が「贔屓」と言った時、親の返事は大きく3つに分かれます。「たしかにね」と同意する。「そんなこと言わないの」と否定する。そして、どちらでもない第三の返し方です。この記事が勧めるのは、第三の返し方です。
なぜ同意も否定もダメなのか。理由は単純で、どちらも「話がそこで終わる」からです。同意すれば、子供は「親も認めた。悪いのはコーチだ」と結論を出します。否定すれば、「言っても分かってもらえない」と口を閉じます。どちらも、子供が次に何をすればいいかにつながりません。
第三の返し方は、話を終わらせずに「動かせる場所」まで運びます。具体的には、①何があったのか事実を聞く、②「つらかったね」と感情を受け止める、③「明日の練習で自分が変えられることは何か」に戻す。この3手順を、あとで詳しく解説します。
先に一つだけ。3手順のゴールは「贔屓かどうかの結論を出すこと」ではありません。コーチが本当に不公平かどうかは、親には多くの場合すぐには分かりません。分からないまま、子供の足が前に向く状態をつくる。それが翻訳者としての親の仕事です。
子供が「贔屓」と言う時、本当に訴えているもの
小学生が「贔屓」という言葉を使う時、コーチの選手起用を客観的に分析して言っているわけではありません。多くの場合、「贔屓」は結論ではなく、感情の翻訳前の形です。裏にあるものは、だいたい次のどれかです。
| 言葉の裏にある本音 | よく出る言い方 | 親が翻訳すると |
|---|---|---|
| 見てもらえていない | 「コーチ、ぼくのこと見てない」 | 「認めてほしい」 |
| 努力が報われていない | 「あんなに練習したのに」 | 「頑張りを分かってほしい」 |
| 理由が分からない | 「なんであいつが出るの」 | 「基準を知りたい」 |
| 悔しさの置き場がない | 「どうせ贔屓だし」 | 「悔しい気持ちをどうにかしたい」 |
| 自分への不安 | 「ぼくって下手なのかな」 | 「大丈夫だと言ってほしい」 |
つまり、子供が本当に訴えているのは「コーチの人格」ではなく、「自分がどう見られているか」への不安です。ここを取り違えると、親は「コーチをどうするか」の話をしてしまい、子供が本当にほしかった「自分は大丈夫だ」という感覚は届きません。
スポーツ心理学では、人が出来事の原因を「自分の内側」に見るか「外側」に見るかを「原因帰属」と呼びます。「贔屓だ」は、出来事の原因を完全に外側に置く帰属です。外側に置くと、一時的には楽になります。自分は悪くないからです。しかし、外側に置いたままだと、次に何をすればいいかが見えなくなります。子供が楽になった代わりに、伸びる道を失う。これが「贔屓」という言葉の危うさです。

親が同意した瞬間に起きること(努力の矛先が消える)
親としては、子供の味方でいたい。だから「たしかにあのコーチ、ちょっとね」と言いたくなります。この一言は、その場では子供を喜ばせます。しかし、そのあとに起きることを知っておいてください。
①「自分は変わらなくていい」が確定する
親が同意すると、「試合に出られない理由=コーチの贔屓」が家庭内の公式見解になります。すると子供の中で、「自分が変わる必要はない」が確定します。練習での取り組みが変わらなくなり、実際に上達が止まる。上達が止まるとさらに出場機会が減り、「ほら、やっぱり贔屓だ」が強化されます。この悪循環は、いったん回り始めると親にも止めにくくなります。
②コーチの言葉が届かなくなる
子供は「コーチは自分に不公平な人」と認識した状態で練習に行きます。すると、コーチが技術的に正しい指摘をしても、「どうせ贔屓してる人の言うことだ」と受け取り方が変わります。指導が入らなくなるのです。指導が入らないと上達しない。ここでも悪循環が回ります。
③「うまくいかない時は誰かのせい」が習慣になる
一番長く残る影響はこれです。小学生の時期に「うまくいかない→誰かのせい」という回路が習慣になると、中学の部活、高校、そして仕事でも同じ回路が動きます。逆に、「うまくいかない→自分に動かせることは何か」の回路が身につくと、それは競技をやめたあとも一生使える力になります。「贔屓」問題は、この回路をどちらに固めるかの分かれ道です。
自己決定理論を提唱した心理学者デシとライアンによると、人のやる気は「自分で選んでいる感覚(自律性)」「できる感覚(有能感)」「つながり(関係性)」の3つが満たされた時に内側から育ちます。「贔屓だ」で終わらせると、この3つがすべて削られます。自分で選べない、認められない、コーチとつながれない。親の返し方一つで、この3つを取り戻す方向に話を動かせます。
3手順で返す(事実確認 → 感情の受け止め → 自分の領域へ)
ここからが本題です。子供が「贔屓してる」と言った時の返し方を、3手順で示します。順番が大事です。手順を飛ばして③から入ると、子供は「説教された」と感じます。
手順①:事実を確認する(評価はしない)
最初にやるのは、「何があってそう思ったの?」と事実を聞くことです。ポイントは、聞くだけで評価しないこと。「それは贔屓だね」も「それは贔屓じゃないよ」も、この段階では言いません。
子「コーチ、また○○ばっかり出してた。贔屓だよ」
親「そう感じたんだね。何があってそう思った?」
子「練習ではぼくのほうがシュート決めてるのに、試合は○○が先発だった」
親「なるほど。練習では決めてたのに、試合では○○くんが先発だったんだね」
子「そう。おかしいでしょ」
親「それは納得いかないよね。ちなみに、今日だけ?それとも最近ずっと?」
事実を聞くと、子供の中で「贔屓」がほどけていきます。「練習では決めてたのに、試合では出られなかった」という出来事と、「贔屓だ」という解釈が分かれるからです。親はこの分離を手伝うだけでいい。「今日だけ?ずっと?」という質問は、あとで説明する「見極め基準」にもつながります。
手順②:感情を受け止める(結論は出さない)
事実が出てきたら、次は感情です。「見てもらえてないと感じるのは、つらいよね」「練習で頑張った分、悔しいよね」。ここで大事なのは、感情を受け止めることと、「贔屓だ」という結論に同意することは別だ、という点です。
「つらいよね」は、子供の感情に対する言葉です。「コーチはおかしいね」は、コーチに対する評価です。前者は言ってよく、後者は言わない。この区別が、翻訳者としての親の一番の技術です。感情を受け止めてもらえた子供は、その時点で少し落ち着きます。落ち着くと、次の手順③が入るようになります。
手順③:自分が動かせる領域に戻す
落ち着いたところで、話を「自分の領域」に運びます。「コーチが誰を選ぶかは、変えられない。じゃあ、明日の練習で自分が変えられることは何かある?」。これが3手順の着地点です。
親「コーチの選び方は変えられないよね。でも、明日の練習で変えられることって何かある?」
子「……分かんない」
親「じゃあ、コーチが試合に出す子って、どんなプレーしてる?」
子「○○は声出してる。あとディフェンスもさぼらない」
親「なるほど。じゃあ、明日ひとつだけ試すとしたら?」
子「……声、出してみる」
子供が自分で「声、出してみる」と言えたら、この会話は成功です。親が「声を出しなさい」と言ったのではなく、子供が自分で見つけた。ここに自律性があります。そして翌日、実際に声を出したら、親は結果に関係なく「昨日言ってたこと、やったんだね」と行動を認める。この積み重ねが、「評価者は変えられないが、自分は変えられる」という感覚を育てます。
3手順の合言葉
- ①聞く:「何があってそう思った?」(評価しない)
- ②受け止める:「それはつらいよね」(感情にだけ同意)
- ③戻す:「明日、自分が変えられることは?」(子供に言わせる)
順番を守る。①②を飛ばして③から入ると「説教」になる。
OK声かけ例・NG声かけ例
場面ごとに、OKとNGを並べます。NGの多くは「親が正しいことを言っている」ケースです。正しくても、子供の足が前に向かなければ意味がありません。
場面:帰りの車で「贔屓だ」と言い出した直後
NG声かけ
- 「たしかにあのコーチはおかしいよね」(同意→努力の矛先が消える)
- 「そんなこと言うもんじゃない」(否定→本音を言わなくなる)
- 「実力がないからでしょ」(正論→傷だけ残る)
OK声かけ
- 「そう感じたんだね。何があってそう思った?」
- 「見てもらえてないと感じるのは、つらいよね」
- 「今日だけ?それとも最近ずっと?」
場面:「どうせ贔屓だから頑張っても無駄」と投げやりになった時
NG声かけ
- 「そんなこと言うなら辞めなさい」(脅し)
- 「じゃあママがコーチに聞いてあげる」(代弁者になる)
- 「頑張れば絶対見てくれるよ」(保証できないことを約束)
OK声かけ
- 「無駄だと思うくらい悔しいんだね」
- 「コーチが決めることは変えられない。自分が決められることは何だろう」
- 「試合に出た子がやってて、自分がやってないことって何かある?」
場面:翌日、子供が自分で決めたこと(声を出す等)をやった時
NG声かけ
- 「で、試合出られそう?」(結果にすぐ結びつける)
- 「それくらい前からやりなさいよ」(過去を責める)
- (何も言わない)(気づいていないと思われる)
OK声かけ
- 「昨日言ってたこと、やったんだね」
- 「自分で決めたことをやれるのは、すごいことだよ」
- 「やってみて、どうだった?」
場面:数週間たっても状況が変わらず、また「贔屓だ」と言った時
NG声かけ
- 「ほら、やっぱりコーチが悪いんだよ」(ここで同意に転じる)
- 「もう聞き飽きた」(突き放す)
OK声かけ
- 「前より声出してるの、お母さんは分かってるよ」
- 「コーチに、自分が何をすれば試合に出られるか聞いてみる?一緒に聞き方考えようか」
- 「変わらないのはつらいね。ちょっと状況を整理してみよう」(→見極め基準へ)
最後の場面で出てきた「コーチに自分で聞く」は、高学年なら十分にできます。「どうすれば試合に出られますか」と本人が聞くのは、親が抗議するのとはまったく違う行為です。前者は自律性を育て、後者はそれを奪います。
本当に不公平かを見極める3つの基準
ここまで「子供の領域に戻す」話をしてきましたが、それは「コーチは常に正しい」という意味ではありません。本当に不公平な指導は存在します。そして、それを放置するのも親の仕事ではありません。問題は、「贔屓だ」という子供の言葉だけでは判断できないことです。そこで、親が判断するための3つの基準を置きます。
| 基準 | 見るポイント | 該当するなら |
|---|---|---|
| ①継続性 | 出場機会の偏りが1〜2試合ではなく、数ヶ月単位で続いているか。ポジション・学年・体調など説明のつく理由がないか | 記録をつけて事実を集める |
| ②複数の声 | 本人以外の子供や保護者からも同じ声があるか。うちの子だけが感じているのか | 他の保護者と事実ベースで情報を突き合わせる |
| ③安全や人権 | 特定の子への暴言・無視・人格否定、体罰、危険な練習の強要など、起用の偏りを超えた問題があるか | 起用の問題とは別枠で、すぐに動く |
①と②が両方そろって初めて、「不公平の可能性がある」と言えます。①だけなら、コーチなりの理由(チーム戦術、本人の課題、体格、安全面)があることが多い。②だけなら、保護者同士の空気に引っ張られている可能性があります。
③は別格です。出場機会の偏りは「指導方針の違い」の範囲に入ることがありますが、暴言・無視・体罰は範囲に入りません。日本スポーツ協会の「スポーツ指導者のための倫理ガイドライン」によると、指導者はその立場や権限を超えた精神的・身体的な暴力行為を競技者に与えないことが求められています。「贔屓」の話を聞いていて③に触れる内容が出てきたら、起用の問題とは切り離して、次の章の「親が動くべきケース」に進んでください。
記録のつけ方
①の「継続性」を見るには、記録が必要です。感覚で「いつも出てない」と思っていても、実際に数えると違うことがあります。逆に、数えてみて明らかな偏りが出ることもあります。スマホのメモで十分です。
- 日付、試合名、出場した時間(前半のみ、など)
- 同じポジションの他の子の出場状況
- コーチから本人に説明があったか(あったなら内容)
- 本人の練習での取り組み(親から見た事実。「頑張っていた」ではなく「声を出していた」)
1ヶ月つけると、判断材料がそろいます。そして記録をつける行為自体が、親を「感情」から「事実」に引き戻します。子供に同意したくなる衝動を抑える効果もあります。
親が動くべきケースと、その伝え方
3つの基準で「動くべき」と判断した場合の、伝え方です。ここで一番避けたいのは、「子供の話だけを根拠に、感情的に抗議する」ことです。これをやると、コーチとの関係が壊れ、結局困るのは子供です。
ケース1:①②に該当(起用の偏りが継続、複数の声がある)
この場合、いきなり抗議ではなく「質問」から入ります。「うちの子が試合に出るために、何が足りていないか教えていただけますか」。これは抗議ではなく、指導方針を聞く質問です。まともなコーチなら答えられます。答えが具体的(「守備の戻りが遅い」など)なら、それを子供に伝えて練習に活かせばいい。答えが曖昧、または答えられないなら、それ自体が判断材料になります。
伝えるタイミングは、試合直後を避けてください。感情が動いている時は、お互いに言葉が荒くなります。練習後や、あらかじめ「少しお時間いただけますか」と伝えた上での面談が望ましいです。
ケース2:③に該当(暴言・無視・体罰など)
この場合は、コーチ個人への相談で終わらせず、チームの代表者や運営組織に伝えます。それでも改善しない、または組織自体に問題がある場合は、外部の相談窓口があります。日本スポーツ協会は「スポーツにおける暴力行為等相談窓口」を設置しており、事前相談は匿名でも可能とされています。「大げさにしたくない」と迷う気持ちは分かりますが、③は子供の安全に関わります。迷う時点で、相談する価値があります。
動く時に子供に伝えること
親がコーチに話をする場合、子供に黙って動くのは避けてください。「あなたの話を聞いて、お母さんも状況を知りたいと思った。だからコーチに『何が足りないか』を聞いてくる」。こう伝えると、子供は「親が代わりに戦ってくれる」ではなく「親が自分のために情報を取りに行ってくれる」と受け取ります。そして聞いてきた答えは、必ず子供に返す。「コーチはこう言ってたよ。どう思う?」。これで話は、また子供の領域に戻ります。
動く前の3つの確認
- 子供の話以外に、自分の目で見た事実や記録があるか
- 「抗議」ではなく「質問」の形で言えるか(何が足りないか教えてほしい)
- 聞いてきた答えを、子供に返す準備があるか
他人の評価に依存しない子にする日常の関わり方
「贔屓」問題は、起きてから対応するより、起きにくい土台を日常でつくるほうが効きます。土台とは、「他人の評価がすべてではない」という感覚です。これは口で教えても入りません。日常の親の言葉の積み重ねで、少しずつ入ります。
評価軸を家庭内に一つ持つ
コーチの評価軸は「試合で使うかどうか」です。この一本しか評価軸がないと、使われなかった時に子供の価値がゼロになります。だから家庭では、別の軸を一つ持ちます。「自分で決めたことをやれたか」です。「今日、自分で決めたことは何だった?」「それ、できた?」。この会話を週に何度か入れる。試合に出たかどうかと関係なく、この軸で子供を認める。すると、コーチの評価が「唯一の軸」から「軸の一つ」に変わります。
結果ではなく、変えた行動を言葉にする
「試合に出られてよかったね」より、「先週から声出すって決めて、今日もやってたね」のほうが、子供の中に残ります。前者はコーチの決定への評価、後者は本人の行動への評価だからです。親がどちらを言葉にするかで、子供が「何を頑張れば認められるか」の感覚が変わります。
「変えられること/変えられないこと」を日常語にする
この記事の中心にある「評価者は変えられない、自分の行動は変えられる」は、スポーツ以外の場面でも使えます。テストの点数、友達関係、先生との相性。「それは変えられること?変えられないこと?」という問いを、家庭の日常語にしてください。小学生のうちにこの分け方が身につくと、中学の部活で監督が変わっても、高校で環境が変わっても、自分の足で立てます。
これは「不満を言うな」という教育ではありません。不満は言っていい。言ったあとに、「じゃあ自分は何をするか」まで運べる子にする、という教育です。
今日からできる3つの行動
- 「何があってそう思った?」を一言目にする。次に子供が「贔屓」と言ったら、同意も否定もせず、この質問から入る。評価はしない。事実だけを聞く。
- 出場記録をスマホのメモに1ヶ月つける。日付・出場時間・同じポジションの子の状況・コーチの説明の有無。感覚ではなく事実で見極めるための材料になる。
- 週に1回、「今週、自分で決めてやれたことは?」と聞く。試合に出たかどうかと関係なく、この軸で認める。家庭内に第二の評価軸をつくる。
3つのうち、どれか1つで構いません。1つ目が一番簡単で、一番効きます。「何があってそう思った?」。この一言を用意しておくだけで、次に「贔屓」と言われた時の返事が変わります。
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よくある質問(FAQ)
子供が「コーチが贔屓してる」と言った時、まず何と返せばいいですか?
「そう感じたんだね。何があってそう思った?」と、評価せずに事実を聞くのが最初の一言です。「たしかにね」と同意すると努力の矛先がコーチに移り、「そんなこと言わないの」と否定すると本音を言わなくなります。事実を聞き、感情を受け止め、最後に「明日、自分が変えられることは何か」に戻す3手順で返してください。
親から見ても明らかに贔屓に見えます。それでも同意してはいけませんか?
感情には同意して構いません。「悔しいよね」「つらいよね」は言っていい言葉です。ただし「コーチはおかしい」というコーチへの評価は口にしないでください。親が同意すると、子供の中で「自分は変わらなくていい」が確定し、上達が止まります。親の判断は、出場記録をつけて「継続性」「複数の声」「安全や人権」の3基準で見極め、動くべきなら子供とは別のルートで動いてください。
コーチに直接聞いてもいいのでしょうか?関係が悪くなりませんか?
「抗議」ではなく「質問」の形なら、関係は悪くなりにくいです。「うちの子が試合に出るために何が足りないか教えていただけますか」は、指導方針を聞く質問であって批判ではありません。試合直後は避け、練習後や事前に時間をもらった上で聞いてください。聞いた答えは必ず子供に返し、子供の練習に活かすことがゴールです。
子供本人にコーチに聞かせるのは酷ではないですか?
低学年には難しいですが、高学年なら「どうすれば試合に出られますか」と本人が聞くのは十分できます。親が抗議するのと本人が質問するのはまったく違う行為で、後者は自律性を育てます。いきなり本番ではなく、家で「何て聞く?」と一緒に言葉を考えてから送り出してください。聞けたこと自体を、結果に関係なく認めてあげてください。
贔屓される側の子(コーチの子供など)に対して、うちの子が敵意を持っています。どうすればいいですか?
「あの子が悪いわけじゃない」と正論で押さえるより、「試合に出ているあの子がやっていて、自分がやっていないことは何かある?」と観察に変えてください。敵意の対象を「学ぶ対象」に置き換える質問です。実際、起用されている子には声出しや守備の戻りなど、目に見える理由があることが多く、子供自身がそれを見つけると敵意は薄れます。
何ヶ月も状況が変わらず、子供が辞めたいと言い出しました。辞めさせるべきですか?
「辞める/続ける」の前に、まず「移籍」を含めた選択肢を並べてください。そして、出場記録をもとに3基準で見極めた結果、本当に不公平が継続しているなら、環境を変えるのは逃げではなく正当な判断です。ただし決めるのは子供本人です。「辞めたいくらいつらいんだね。選択肢は3つある(続ける・移籍・辞める)。どれがいいか、一緒に考えよう」と、決定権を子供に残したまま話を進めてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療・専門的指導の代わりになるものではありません。お子さんの心身に気になる様子がある場合は、専門家にご相談ください。



