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試合で声が出ない子への声かけ|「声を出せ」の前に親ができること【OK/NG例】

2026/08/18 | 声かけ・言葉がけ

結論:声が出ないのはやる気の問題ではありません。「何を言えばいいか分からない」だけです。気合いではなく"言う中身"を親子で用意すれば、声は出せるようになります。

「もっと声出せ!」
コーチに言われ、親も観客席から叫び、それでも黙ってプレーするわが子。帰りの車で「なんで声出さないの」と聞いても、うつむくだけ。

この記事では、声が出ない本当の原因を3つに分解し、「声を出せ」と言わずに声が出るようになる家庭での関わり方を、OK/NG声かけ例つきで解説します。

「声が出ない」の正体|やる気ではなく3つの原因

声が出ない子は、サボっているわけでも、チームに関心がないわけでもありません。原因は大きく3つに分かれます。

原因1:何を言えばいいか分からない

実はこれが最多です。元プロサッカー選手でメンタルトレーナーの山下訓広氏によると、「声出し自体に抵抗はないが、どんな状況で声を出せばいいのか分からない」子が多く、プレーしながら声の内容まで考えると頭の処理が追いつかなくなるといいます(サカママ連載より)。

つまり、声帯の問題でも性格の問題でもなく、「台本がない」状態なのです。台本があれば読めます。

原因2:間違えるのが怖い

のべ60万人以上の子どもを指導してきた池上正氏(元ジェフユナイテッド市原・千葉育成コーチ)によると、声を出さない背景には「自分に自信がない」「間違えることが恥ずかしい」という感情があるといいます(サカイクより)。

「右!」と言ってパスが取られたら自分のせいになる。だったら黙っていた方が安全。子どもなりの合理的な防衛です。

原因3:もともと大声を出す経験が少ない

池上氏は、今の子どもは日常で大声を出す場面自体が減っていることも指摘しています。家でも学校でも「静かにしなさい」と言われて育った子が、試合の日だけ大声を求められる。出ないのが自然です。

まずは、わが子がこの3つのどれに当てはまるかを見極めるところから。原因が違えば、打ち手も違います。

掛け声と情報の声は別物|まず出すべきはどっち?

「声出し」とひとくくりにされがちですが、実は2種類あります。

種類例必要なもの
掛け声(気合い系)「ナイス!」「ドンマイ!」「集中!」勇気だけ。内容は考えなくていい
情報の声(コーチング系)「右きてる!」「マーク○番!」「時間ない!」状況判断+語彙。難易度が高い

最初に目指すべきは掛け声です。「ナイス」は間違えようがありません。誰も傷つけず、外すこともない。声出しの成功体験を積む入口として最適です。

一方、情報の声は「台本」がないと出せません。次の章で競技別に用意しました。

競技別・そのまま使える声のテンプレ

親子で「今度の試合、どれか1つ言ってみる?」と選ぶところから始めてください。選ぶのは子ども自身。ここが最重要です。

球技(サッカー・バスケ・野球など)

  • 守備で:「きてる!」「マーク○番!」「一人フリー!」
  • 攻撃で:「ヘイ!(パスちょうだい)」「時間ある!」「上がれ!」
  • いつでも:「ナイス!」「切り替え!」

対人競技(剣道・柔道・空手など)

対人競技は仲間への指示よりも、自分を奮い立たせる発声(気合い)が中心。応援側に回ったときの「あと○秒!」「落ち着いて!」を役割にすると声が出しやすくなります。

個人競技(水泳・陸上・体操など)

試合中の声出しはほぼ不要。仲間のレース前の「いってらっしゃい!」、終わった後の「おつかれ!」だけで、チームへの声の貢献は十分成立します。

池上氏も、大人しい子に対しては「どんな声を出せばいいのかを明確にしてあげてください」と、具体的なワードを教える指導をすすめています。

家庭でできる声出し練習|恥ずかしさを外す3ステップ

ステップ1:家の中で「役割の声」を出す(1週目)

「ごはんできたよー!」を家族に伝える係、お風呂が沸いたら知らせる係。意味のある連絡を大きな声で言う経験を日常に作ります。遊び感覚でOKです。

ステップ2:親子練習に「声のルール」を混ぜる(2週目)

キャッチボールやパス練習で「投げる前に相手の名前を呼ぶ」「10回続いたら2人で"よし!"と言う」などのルールをつけます。池上氏が実践する、パスの本数を数えて叫ぶトレーニングと同じ発想で、声がゲームの一部になれば恥ずかしさは消えます。

ステップ3:試合で「1語限定ミッション」(3週目〜)

「今日は"ナイス"だけ3回言う」。これだけです。山下氏のいう「スモールステップ」の実践で、氏が指導した小学6年生は「マークの声を3回言う」という自分で決めた小さな目標から始めて、数週間で大きな声での指示につなげています。

ポイントは、何を言うかを子どもが自分で決めること。山下氏は「言わされているのではなく、自ら考え発言することでプラスの効果が感じられれば、それが自信にもつながっていく」と述べています。

もともと控えめな子に無理をさせない線引き

ここまでの練習をしても、声の大きさには生まれつきの個人差があります。内向的な性格は直すべき欠点ではなく、観察力や集中力という形でプレーに現れる特性です。

線引きの目安はシンプルです。

  • 「言う中身が分からない」なら→台本を用意すれば伸びる。練習の価値あり
  • 台本があっても苦しそうなら→掛け声1語まででOK。それ以上は求めない
  • 声の話題を出すだけで表情が曇るなら→いったん撤退。プレーで貢献できていれば十分

「声が出ること」はチームの目的ではなく手段です。手段のために子どもの自己肯定感を削っては本末転倒です。

親がやりがちなNG|観客席からの「声出せ!」は逆効果

NGとOKをセットで確認しましょう。

NG例

  • 「なんで声出さないの」→責められた記憶だけが残り、次の試合はもっと萎縮します
  • 「声出さないから使ってもらえないんだよ」→出場機会と結びつけた脅しは、声への苦手意識を恐怖に変えます
  • 観客席から「声出せー!」→試合中に修正できない指摘は、子どもの頭を真っ白にするだけです
  • 「○○くんはあんなに声出してるのに」→比較は自信を削る最短ルートです

OK例

  • 「何て言えばいいか分からなかった?」→原因1の子は、この一言で初めて本音を話せます
  • 「今日は"ナイス"だけ3回言ってみようか。どの場面で言う?」→ミッションを一緒に設計。決めるのは子ども
  • 「さっきの"ドンマイ"、○○くん嬉しそうだったよ」→声が届いた事実を具体的にフィードバック
  • 「言おうとして言えなかった場面、あった?」→出なかった声ではなく、出そうとした意思を拾います

声以外でチームに貢献する方法もある

池上氏によると、チームとして競技の理解が深まるほど、実は声を出さなくても通じ合うプレーが増えていくといいます。声はあくまで手段の一つ。

ベンチで仲間の道具を整える、交代のとき最初にハイタッチに行く、円陣で一番いい姿勢で聞く。チームへの貢献の形は声だけではありません。そこを親が認めていれば、子どもは安心して、自分のペースで声を増やしていけます。

まとめ|今日からできる3つの行動

  1. 原因を特定する:「何て言えばいいか分からなかった?」と一度だけ聞いてみる
  2. 台本を一緒に作る:競技別テンプレから、子どもに1語選ばせる
  3. 1語限定ミッション:「今日は"ナイス"3回」だけ。達成したら回数ではなく挑戦を認める

「声を出せ」と100回言うより、「何を言うか」を1つ決める方が早い。親の一言で、結果は変わります。

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よくある質問

声が出ないことをコーチに相談してもいいですか?

「本人は何を言えばいいか分からず困っているようです」と原因ベースで伝えるのがおすすめです。家庭で1語ミッションに取り組んでいることを共有すると、コーチも試合で拾いやすくなります。

声を出さないと試合に使ってもらえないのは本当?

チームの方針によりますが、声はあくまで評価要素の一つです。仮にそうだとしても、家庭で「声出さないと外されるよ」と脅すのは逆効果。掛け声1語から成功体験を積む方が近道です。

何歳ごろから声が出るようになりますか?

個人差が大きく、競技理解が深まる高学年で自然に増える子が多いです。低学年のうちは「ナイス」「ドンマイ」が言えれば十分。焦って矯正する必要はありません。

家では大声なのに試合になると黙ってしまいます。なぜ?

家は「間違えても安全な場所」だからです。試合では間違いを指摘される怖さが勝っています。内容を間違えようがない掛け声(ナイス等)から始めると、試合でも声が出やすくなります。

親が観客席から指示の声を出すのはダメですか?

プレーの指示はコーチと役割が重複し、子どもを混乱させるので控えましょう。親の声は「ナイスチャレンジ!」のような結果を問わない応援に絞るのが原則です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療・専門的指導の代わりになるものではありません。お子さんの心身に気になる様子がある場合は、専門家にご相談ください。