「全国大会に行きたい」。子供の口から出た大きな夢を、毎日のやる気に変える。その橋渡しになるのが目標設定です。
先に結論をお伝えします。子供のスポーツの目標設定は、親が決めるものではありません。親子で「一緒に描く」ものです。親が数字を押しつけた瞬間、それは子供にとって「やらされる目標」に変わります。
この記事では、子供が主役になる目標の立て方を、具体的な声かけのOK例・NG例つきで紹介します。結果目標と行動目標の使い分け、夏休みを使った4ステップ、そして続く振り返りの習慣まで。今日から家庭でできる形にまとめました。
結論|目標は「親が決める」のではなく「親子で描く」
目標設定でいちばん大切なのは、中身よりも「誰が決めたか」です。同じ目標でも、親が決めたか、子供が自分で決めたかで、やる気の続き方がまるで変わります。
スポーツ庁は、子供のスポーツで「楽しさ」や「主体性」を重視しています。スポーツ庁の発信によると、自分の内側から湧く「内発的動機づけ」は、結果や評価といった外から与えられるやる気よりも長く続き、外部の評価に左右されにくいとされています。つまり、子供が「自分で決めた」と感じられる目標ほど、粘り強く取り組めるのです。
だからといって「好きにしなさい」と丸投げするのも違います。親の役割は、決めることではなく「引き出すこと」。問いかけて、子供の言葉を待つ。それが目標設定の第一歩です。
- 🟢 OK例「どんな選手になりたい?そのために、今できることは何だと思う?」
- 🔴 NG例「次の大会は絶対に優勝ね。そのために毎日100本ノートに書きなさい」
- 🟢 OK例「目標、一緒に考えよっか。パパは手伝うだけだから、主役はあなたね」
- 🔴 NG例「去年◯◯くんが県で3位でしょ。あなたも同じくらい目指しなさい」

まず知りたい「結果目標」と「行動目標」の違い
目標には大きく2種類あります。結果目標と行動目標(プロセス目標)です。この2つを分けて使うだけで、子供のやる気は驚くほど安定します。
結果目標=相手や運に左右されるゴール
「大会で優勝する」「県大会に出る」「リレーの選手になる」。これらは結果目標です。ゴールとして大切ですが、勝敗や順位は相手やその日の運にも左右され、自分だけではコントロールできません。結果目標だけを追うと、負けたときにやる気が一気に折れやすくなります。
行動目標=自分でコントロールできる行動
「毎日、素振りを50回する」「練習後に5分ストレッチする」「試合前に深呼吸を3回する」。これが行動目標です。やるかやらないかを自分で決められるのが最大の強み。結果が出ない時期でも「今週も続けられた」と自信の土台になります。
目標設定理論(心理学者ロックが提唱)によると、あいまいな目標より具体的で測定できる目標のほうが、そして本人が納得している「少し難しい目標」のほうが、やる気と成果を高めるとされています。行動目標を「回数」や「時間」で具体的にするのは、この理論にもかなっています。
- 結果目標:大会でベスト8に入る(=行き先を示す旗)
- 行動目標:そのために毎日リフティングを100回続ける(=毎日の足元)
- コツは「結果目標を1つ、行動目標を2〜3つ」のセットで持つこと
- 🟢 OK例「勝てなかったのは残念。でも、決めた練習は今週も全部やり切ったね」
- 🔴 NG例「優勝できなかったの?じゃあ今までの練習は意味なかったね」
親子でスポーツの目標を立てる4ステップ(夏休み活用)
時間に余裕のある夏休みは、目標を立て直す絶好のタイミングです。「なりたい姿→今月→今週の行動」へと、大きな夢を足元まで落としていきます。次の4ステップで進めてみてください。
STEP1|なりたい姿を子供に聞く
まずは「どんな選手になりたい?」と聞くだけ。うまく言えなくても大丈夫。親は口を出さず、うなずいて言葉を待ちます。ここが目標の「旗」になります。
STEP2|結果目標を1つだけ決める
なりたい姿から、大会や記録の目標を1つ選びます。多すぎると迷子になります。「秋の大会で1回戦を勝つ」くらいの、少し頑張れば届く目標が理想です。
STEP3|行動目標に落とす(今月→今週)
「その目標のために、今月できることは?今週は?」と一緒に分解します。行動目標は2〜3個まで。「毎日◯◯を△回」と、回数や時間で具体的にするのがコツです。
STEP4|紙に書いて見える場所に貼る
決めた目標は、子供の字で紙に書きます。頭の中にあるだけの目標は消えやすいもの。冷蔵庫や机の前など、毎日目に入る場所に貼りましょう。書く作業そのものが「自分で決めた」実感を強めます。
✅ 今日からできる行動(3つ)
- 夕食のあと5分、「どんな選手になりたい?」と1つだけ聞いてみる
- 結果目標1つ+行動目標2つを、子供の字で1枚の紙に書く
- その紙を、家族みんなが見える場所に一緒に貼る
目標を「やらされ」にしない親の関わり方
せっかく立てた目標も、親が管理しすぎると「やらされるもの」に変わります。主役はあくまで子供。親は伴走者です。
この考え方は、スポーツ指導の世界でも主流になっています。日本スポーツ協会(JSPO)は「プレーヤーズセンタード(選手主体)」を指導者の基本理念に掲げています。選手自身が考え、決める過程を支えるという姿勢は、家庭のサポートにもそのまま当てはまります。
毎日「やった?」と確認するのは、応援ではなく監視です。子供が自分から動くまで、少し待つ勇気を持ちましょう。
- 🟢 OK例「今週の目標、どんな感じ?困ってることあったら言ってね」
- 🔴 NG例「今日の素振りやったの?やってないでしょ。ほら早く」
- 🟢 OK例「自分で決めた目標だもんね。あなたのペースで大丈夫だよ」
- 🔴 NG例「そんな甘い目標じゃ全国なんて無理。もっと高くしなさい」
もし目標が高すぎて手が止まっているなら、責めずに一緒に下方修正します。難しすぎる目標はやる気を奪います。「ちょっと下げて、まず続けようか」で十分です。
続く「振り返り」の習慣|OK/NG声かけ
目標は立てて終わりではありません。週に1回の振り返りで、はじめて生きてきます。日曜の夜など、時間を決めておくと続きます。
振り返りのコツは、結果ではなく「行動」に注目すること。「勝てた?」ではなく「決めた練習、続けられた?」と聞きます。できた行動に丸をつけ、できなかった週は「来週はどうする?」と一緒に考えるだけ。責めるための時間ではありません。
- 🟢 OK例「今週は3日できたね。先週より1日増えた。ちゃんと前進してるよ」
- 🔴 NG例「また今週もサボったの?やる気あるの?もうやめたら?」
- 🟢 OK例「できなかった日があってもいいよ。来週はどうしたら続けられそう?」
- 🔴 NG例「目標決めたのは自分でしょ。できないなら意味ないじゃない」
✅ 今日からできる行動(振り返り編)
- 「毎週日曜の夜3分」など、振り返りの時間を家族で決める
- 紙の行動目標に、できた日は子供自身に丸をつけてもらう
- できた行動をまず1つ言葉にしてほめてから、来週の話をする
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子供のスポーツの目標は親が決めてもいいですか?
基本は子供自身が決め、親は問いかけて引き出す役に徹するのがおすすめです。親が決めた目標は「やらされるもの」になりやすく、やる気が続きにくくなります。「どんな選手になりたい?」と聞き、出てきた言葉を目標にすると、自分ごととして取り組めます。
結果目標と行動目標、どちらを重視すべきですか?
両方をセットで持つのが理想ですが、日々の声かけは行動目標を重視してください。順位や勝敗は相手や運に左右されますが、行動目標は自分でコントロールできます。結果が出ない時期でも「続けられた」という自信の土台になります。
目標を立てても子供が続きません。どうすれば?
目標が高すぎるか、振り返りの習慣がないことが多いです。まず目標を「少し頑張れば届く」レベルまで下げ、週1回3分の振り返りをセットにしましょう。できた行動を先にほめ、できなかった週は責めずに「来週はどうする?」と一緒に考えると続きやすくなります。
目標はどのくらいの期間で立てるのがいいですか?
「なりたい姿(長期)→今月→今週」と、大きな目標を短い期間に分けるのがコツです。子供にとって数か月先は遠すぎて実感がわきません。今週やることまで具体化すると、毎日の行動につながります。夏休みなど区切りのよいタイミングで見直すと効果的です。
何歳から目標設定をさせるべきですか?
小学生であれば十分に取り組めます。低学年は「今日は笑顔で最後まで走る」のような簡単な行動目標から始め、学年が上がるにつれて回数や時間で具体化していくとよいでしょう。年齢よりも、本人が内容を理解して納得できているかが大切です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療・専門的指導の代わりになるものではありません。お子さんの心身に気になる様子がある場合は、専門家にご相談ください。



