練習の帰り道。「今日の練習、どうだった?」と聞くと、「わかんない」。「何か課題見つかった?」と聞いても、「わかんない」。「ふつう」「別に」で会話が終わる日もあります。コーチからは「自分の課題を自分で言えるようになってほしい」と言われているのに、家では何も出てこない。親としては、本当に何も考えていないのか、考えているけど言わないのか、それすら分からず、もどかしくなります。
結論から言うと、「わかんない」しか言わないのは、意欲や性格の問題ではなく、質問が大きすぎるからです。「どうだった?」は、大人にとっても答えにくい質問です。小学生にとっては、練習2時間分の出来事を自分で切り分けて、順番に並べて、評価までつけて答えろ、と言われているのと同じです。それができないから「わかんない」になります。
必要なのは、子供を変えることではなく、質問を変えることです。この記事では、「わかんない」の3つの正体の見分け方、答えられる質問に砕く3段階の順番、そのまま読み上げられる質問リスト20、答えを待つ時間の根拠、本当に話したくない日の見分け方と引き下がり方、場面別のOK/NG声かけ例をまとめます。
この記事の要点
- 「わかんない」の正体は3つ。言葉にできない・思い出せない・話したくない。対応はそれぞれ違う
- 「どうだった?」「課題は?」は、小学生には大きすぎる質問。砕けば答えが返ってくる
- 砕く順番は「はい/いいえ」→「2択」→「場面の指定」。この順で小さくしていく
- 質問したら5秒待つ。沈黙を親が埋めると、子供は考えるのをやめる
- 返ってきた答えに評価をつけない。評価が返ると知った子は、次から答えなくなる
- 自分の課題を言葉にできる力は、3ヶ月の積み重ねで育つ。練習ノートと組み合わせると早い
「わかんない」の3つの正体|言葉にできない・思い出せない・話したくない
同じ「わかんない」でも、中身は3種類あります。どれなのかで、親がやることが変わります。まず見分けてください。
| 正体 | 子供の中で起きていること | 見分けるサイン | 親がやること |
|---|---|---|---|
| ①言葉にできない | 感覚としては分かっているが、言葉にする段階で止まっている | 聞かれると少し考える顔をする。「うーん」の後に「わかんない」 | 質問を小さく砕く(この記事の本題) |
| ②思い出せない | 練習中の出来事が頭に残っていない。場面を特定できない | 即答で「わかんない」。表情は普通。他の話はする | 場面を指定して聞く。「最後のゲーム形式のとき」など |
| ③話したくない | 疲れている、叱られた、失敗した、評価されたくない | 目を合わせない。声が小さい。「もういい」が出る | その日は聞かない。翌日か翌々日に回す |
多くの親は、①と②の子に対して、質問の大きさを変えずに回数だけ増やします。「どうだった?」「で、何が課題?」「ちゃんと考えてる?」。これでは答えられません。そして③の子に対して、「何か言うことないの?」と踏み込んでしまいます。これは逆効果です。
低学年と高学年で、「わかんない」の意味は違う
発達心理学者J・H・フラベルが提唱した「メタ認知」の研究によると、自分の考えや行動を一歩引いて眺め、言葉にする力は、小学校中学年ごろから少しずつ発達し、高学年から中学にかけて安定していくとされています。つまり、小2〜小3の「わかんない」は、本当に「自分の中で何が起きているか、まだ見えていない」ことがほとんどです。一方、小5〜小6の「わかんない」は、見えてはいるが言葉にする前に面倒になっている、あるいは評価されるのが嫌で止めている、という割合が増えます。
どちらにしても、親が「ちゃんと考えなさい」と言って解決する問題ではありません。考える力そのものが発達途中であり、その力を伸ばすのが、親の質問の砕き方です。
なぜ「どうだった?」「課題は?」に答えられないのか
「どうだった?」という質問に答えるには、頭の中で4つの作業が必要です。
- 2時間の練習を思い出す
- その中から話す価値がある出来事を選ぶ
- 選んだ出来事を、相手に伝わる順番に並べる
- 良かった・悪かった・課題だ、という評価をつける
大人はこれを無意識に一瞬でやります。小学生は、4つのうちどれか1つで止まります。止まった結果が「わかんない」です。「課題は?」はさらに難しい質問です。「できなかったこと」を自分で認めて、それを親に言う、という心理的な負担が上乗せされるからです。
ここで大事なのは、4つの作業のうち、親が3つを肩代わりしてもいいということです。思い出す・選ぶ・並べる、は親が質問で手伝う。評価だけ本人に残す。これが質問を砕く、という作業の正体です。
子育て情報サイトのマイナビニュースに掲載された国語教育の専門家の解説でも、子供が「べつに」「わかんない」としか答えないのは、わざと話さないのではなく、何を聞かれているか分からないからだと指摘されています。対策として、答えやすい質問から始める、答えにくければ2択にする、「どうして」は責められている印象になるため使わない、という順序が挙げられています。スポーツの振り返りでも、まったく同じことが起きています。
質問を砕く3段階|はい/いいえ → 2択 → 場面の指定
質問を小さくする順番は決まっています。大きい質問からではなく、一番小さい「はい/いいえ」から始めて、答えが返ってきたら少しずつ広げます。
段階1:はい/いいえで答えられる質問から入る
最初の質問は、首を縦か横に振れば答えられるものにします。ここでの目的は、情報を得ることではなく、「答えた」という事実を作ることです。
- 「今日、ゲーム形式やった?」
- 「最後まで走れた?」
- 「コーチに何か言われた?」
- 「疲れてる?」
「うん」でも「別に」でも、返ってきたら成功です。ここで「うんじゃなくてちゃんと答えて」と言ってはいけません。
段階2:2択で答えられる質問に広げる
「うん」が返ってきたら、次は2択です。選ぶだけで答えられるので、言葉を組み立てる負担がほぼありません。それでいて、子供は選ぶ瞬間に練習を思い出します。
- 「今日は楽しかった? しんどかった?」
- 「前半と後半、どっちが動けた?」
- 「守るのと攻めるの、今日はどっちがうまくいった?」
- 「できたことと、できなかったこと、どっちから話す?」
2択のコツは、「どちらを選んでも正解」にしておくことです。「ちゃんとやった? サボった?」は2択の形をしていますが、片方を選べません。これは質問ではなく、詰問です。
段階3:場面を指定して聞く
2択で「後半」と返ってきたら、場面を絞って聞きます。「後半の、ゲーム形式のとき」「最後のシュート練習で」と、親が時間と場所を指定します。ここまで来ると、子供は答えられます。思い出す範囲が10分程度に絞られているからです。
- 「後半のゲームで、一番うまくいったプレー、1個だけ教えて」
- 「最後のシュート練習、何本くらい入った?」
- 「コーチに言われたやつ、もう一回やるとしたらどこ直す?」
課題という言葉は、この段階になってから初めて使います。しかも「課題は何?」ではなく、「もう一回やるとしたら、どこを変える?」という聞き方にします。「課題」は「できなかったこと」を認める言葉ですが、「どこを変える」は「次にやること」の言葉です。同じ内容を聞いているのに、子供の答えやすさがまったく違います。
3段階を通した会話の例
親:今日、最後にゲーム形式やった?
子:うん。
親:前半と後半だったら、どっちが動けた感じ?
子:……後半かな。
親:後半か。後半で、1個だけ、これはうまくいったってやつある?
子:えーと、パス出したやつ。右の。
親:右にパス出したやつね。それ、もう一回やるとしたら、何か変える?
子:……もうちょっと早く出せば、たぶん通った。
親:早く出す、か。わかった。
この会話で、子供は「パスを出すタイミングを早くする」という課題を、自分の言葉で言いました。親は一度も「課題は何?」と聞いていません。そして最後に「それはいい気づきだね」「コーチもそう言ってたよね」といった評価も足していません。「わかった」で終える。これが次も答えてもらえる終わり方です。

そのまま使える質問リスト20|試合後・練習後・不調の時
ここからは、そのまま読み上げられる質問を場面別に並べます。どれも「はい/いいえ」か「2択」か「場面指定」のどれかになっています。1日に使うのは2〜3個で十分です。
試合後に使う7つ
- 「今日の相手、強かった? ふつうだった?」(2択)
- 「出てた時間、長かった? 短かった?」(2択)
- 「自分のプレーで、1個だけ覚えてるやつある?」(場面指定)
- 「点が入ったとき、どこにいた?」(場面指定)
- 「試合の中で、1回でも『やばい』って思った瞬間あった?」(はい/いいえ)
- 「次の試合も同じ相手だったら、1個だけ変えるとしたら何?」(場面指定)
- 「今日、チームで一番よかったの誰?」(相手の話から入る)
練習後に使う7つ
- 「今日、新しいことやった? いつものやつ?」(2択)
- 「一番きつかったメニュー、どれ?」(場面指定)
- 「コーチに名前呼ばれた?」(はい/いいえ)
- 「できるようになってきたなって思うやつ、1個ある?」(はい/いいえ→あれば場面指定)
- 「今日のメニューで、家でもできそうなやつあった?」(はい/いいえ)
- 「前回より楽だった? きつかった?」(2択)
- 「明日も同じ練習だったら、どこから始めたい?」(場面指定)
不調の時に使う6つ
- 「今、体しんどい? 気持ちがしんどい?」(2択)
- 「うまくいかないの、いつからか覚えてる?」(場面指定)
- 「前にうまくいってたときと、何か変わった?」(はい/いいえ)
- 「今日は話す? 話さないでおく?」(2択・引き下がる余地を残す)
- 「コーチは何て言ってた?」(本人の評価ではなく事実を聞く)
- 「1個だけ、戻したいプレーある?」(場面指定)
不調の時は、質問の数を減らします。この6つのうち、1日に使うのは1個です。「今日は話す? 話さないでおく?」は、話さない選択を正面から認める質問です。これがあると、子供は「話さなくても怒られない」と分かり、翌日に話す確率が上がります。
聞くタイミングと場所|帰りの車より、夜のほうが答えが返ってくる
質問を砕いても、タイミングが悪いと返ってきません。練習直後は、体が疲れているうえに、まだ出来事が整理されていません。帰りの車で「どうだった?」と聞くのは、一番答えが返ってこない組み合わせです。
カナダ・トロント大学の研究者らが行った、親子17組への聞き取り調査「車内の帰り道の会話」によると、帰りの車内での親からの会話は、肯定・否定のフィードバックや助言、動機づけの発言が中心で、それが子供の感情や意欲に影響を及ぼすと報告されています。帰りの車は、親が話したくなる場所であり、子供が話したい場所ではない、ということです。
答えが返ってきやすいのは、帰宅して風呂と食事を済ませた後、寝るまでの時間です。目が合わない場面(並んで座る・片付けをしながら・歯磨きしながら)だと、さらに出やすくなります。帰りの車では、質問をせずに「お疲れ」「腹減った?」だけにして、夜に段階1から始めてください。
タイミングと場所の作り方は、子供が試合のことを話さない|自分から話し出す親の聞き方でさらに詳しく扱っています。本記事は「質問の作り方」に絞ります。
沈黙を埋めない|5秒待つことが答えを引き出す
質問を砕いて、タイミングも合わせた。それでも答えが出ない時があります。ここで親がやりがちなのが、沈黙を自分で埋めることです。「えっと、あのシュートのやつ?」「コーチが言ってたのは、たぶん走り方のことだよね?」。親が先に答えを言ってしまうと、子供は考えるのをやめて、「うん」と言うだけになります。
教育研究者メアリー・バッド・ロウが教室での教師の質問を分析した研究によると、教師が質問した後に待つ時間は平均1秒程度で、これを3秒以上に延ばすと、生徒の答えの長さが伸び、「わからない」という返答が減り、自分から発言する回数が増えたと報告されています。子供は、考える時間を与えられれば答えます。与えられていないから「わかんない」で逃げているのです。
家でやることは単純です。質問したら、心の中で5つ数えるまで何も言わない。5秒は体感でかなり長く、親のほうが耐えられなくなります。それでも待ってください。5秒待って出なければ、「じゃあ、2択にするね」と言って段階を1つ下げます。質問を言い換えるのは、沈黙を埋めるのとは違います。
話したくない日の見分け方と、その日の正しい引き下がり方
3つの正体のうち、③「話したくない」の日は、質問を砕いても意味がありません。砕くほど、追い詰めることになります。この日を見分けて、引き下がることが、翌日に話してもらうための条件です。
話したくない日の4つのサイン
- 段階1の「はい/いいえ」にも返事がない、または「もういい」が出る
- 目を合わせず、荷物を置いてすぐ部屋に行く
- 食事中に競技以外の話もしない(疲労か、叱られた可能性が高い)
- 競技の話を振った瞬間に、表情が固まる
このうち2つ以上が当てはまる日は、聞くのをやめます。重要なのは、やめ方です。「じゃあもういい」「話したくないなら聞かない」と言って去るのは、引き下がったように見えて、実は「話さなかったことを責めている」メッセージになります。
正しい引き下がり方
引き下がるときの一言は、「今日は聞かないでおくね。明日でも、話したくなったらでいいよ」です。聞かない理由を本人のせいにせず、次の機会を残す言い方です。翌日、本人から話し出すことも多いですし、話し出さなければ翌日の夜に段階1から始めれば十分です。2日続けて③のサインが出る場合は、練習で何かあった可能性があります。コーチへの連絡を検討してください。
答えが返ってきた後にやってはいけないこと|評価を足すと次から答えなくなる
ここまでの手順で答えが返ってきたとき、親がやりがちな失敗が3つあります。
- 評価を足す:「それはいい気づきだね」「そこじゃないでしょ」。良い評価でも悪い評価でも、「答えると採点される」と学習した子は、次から答えを選ぶようになる
- 助言を足す:「だったら、もっと周りを見ないと」。本人が言った課題を、親が別の課題に上書きしてしまう
- 広げる:「他には? もっとあるでしょ?」。1個出たことを喜ばず、2個目を要求すると、1個目を言った価値が消える
カウンセリングの手法である動機づけ面接(W・R・ミラーらが体系化)では、相手が自分の言葉で語るために、評価や助言を挟まず、相手の言ったことをそのまま短く返す「聞き返し」を基本姿勢としています。家庭では、これを「オウム返しで終える」と覚えてください。「早く出す、か」「右のパスね」。それだけで会話を閉じます。
課題を本人の言葉で言えた日は、それで100点です。2個目は要らないし、親の助言も要りません。コーチが言う技術的な課題と本人が言う課題が違っていても、訂正しません。本人が言ったほうを、本人が練習で試します。試して違えば、本人が気づきます。それがメタ認知が育つ、ということです。
場面別のOK/NG声かけ例
場面:練習の帰り道(車内)
NG声かけ
- 「今日どうだった?」(大きすぎて答えられない)
- 「何か課題見つかった?」(「できなかったこと」を言わせる形)
- 「……で? 何か言うことないの?」(沈黙を責める)
OK声かけ
- 「お疲れ。腹減った?」(質問しない。夜に回す)
- 「今日、最後までゲームあった?」(どうしても聞くなら、はい/いいえだけ)
- 何も聞かずに、親が自分の今日の話を1つする
場面:夜、落ち着いてから
NG声かけ
- 「で、さっきの続きだけど、課題は何なの?」(大きい質問に戻っている)
- 「ちゃんと考えてる? コーチに言われてるでしょ?」(意欲を疑う)
- 「あのシュートのやつでしょ? 走り方が悪かったんでしょ?」(親が答えを言う)
OK声かけ
- 「前半と後半、どっちが動けた?」(2択)
- 「後半で、1個だけうまくいったやつ教えて」(場面指定)
- 「もう一回やるなら、どこ変える?」(課題を「次にやること」の形で聞く)
場面:答えが返ってきた直後
NG声かけ
- 「それはいい気づきだね!」(評価。次から採点を気にする)
- 「他には? 1個だけじゃないでしょ」(1個の価値を消す)
- 「じゃあ明日からそれ毎日やりなさい」(本人の課題を親の指示に変える)
OK声かけ
- 「早く出す、か。わかった」(オウム返しで閉じる)
- 「教えてくれてありがとう」(答えた事実に触れる)
- 翌日の練習前に「昨日言ってた、早く出すやつ、試してみる?」(本人の言葉で戻す)
場面:話したくない日
NG声かけ
- 「話したくないなら、もう聞かない」(責めている)
- 「何かあったの? コーチに怒られた? 誰かと喧嘩した?」(質問攻め)
- 「そんな態度なら、送り迎えしないよ」(取引にする)
OK声かけ
- 「今日は聞かないでおくね。話したくなったらでいいよ」
- 「今日は話す? 話さないでおく?」(話さない選択を正面から認める)
- 翌日に段階1から始める
言葉にできる子に育つ3ヶ月|練習ノートとの併用
質問を砕く聞き方は、その日の会話を成立させるだけでなく、続けると子供の側が変わります。目安は3ヶ月です。
| 時期 | 子供の変化 | 親の質問の段階 |
|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 2択なら答える。場面指定で1個出る日と出ない日がある | 段階1→2→3を毎回最初からやる |
| 2ヶ月目 | 「後半のあれ」と自分から場面を指定し始める | 段階2から入れる日が増える |
| 3ヶ月目 | 「今日は〇〇がダメだった」と自分から言う日が出る | 「どうだった?」でも答えが返る日がある |
3ヶ月目に「どうだった?」で答えが返ってきたら、それは親の質問が上達したのではなく、子供の中に「練習を思い出す→1個選ぶ→次にやることを決める」という型ができた、ということです。
この型を定着させるのに一番効くのが、練習ノートです。親の質問で口に出した1個を、その日の夜にノートに1行書く。「右のパス、もっと早く出す」。それだけです。口に出す→書く、の2段階を踏むと、翌週に同じ課題を自分で思い出せるようになります。ノートの型については、子供の練習ノートの書き方|続く「3行の型」と親の関わり方にテンプレートがあります。
逆に、ノートを先に始めて「何か書きなさい」と言うと、白紙が続きます。書く前に、口で言える状態を作る。順番は、質問が先、ノートが後です。
今日からできる行動3つ
- 今夜、「どうだった?」を1回も言わない。代わりに「前半と後半、どっちが動けた?」の2択を1つだけ使う
- 質問したら、心の中で5つ数える。出なければ「じゃあ2択にするね」と言って、段階を1つ下げる
- 答えが返ったら、オウム返しで閉じる。「〇〇、か。わかった」。評価も助言も2個目の要求もしない
まとめ|「わかんない」は答えではなく、質問の大きさを知らせるサイン
練習の課題を聞いても「わからない」しか言わない子供は、考えていないのではありません。「どうだった?」という質問が、小学生の頭の中で処理できる大きさを超えているだけです。思い出す・選ぶ・並べる、の3つを親が質問で手伝い、評価だけを本人に残す。そのための順番が、はい/いいえ→2択→場面の指定です。
質問したら5秒待つ。返ってきたらオウム返しで閉じる。話したくない日は、次の機会を残して引き下がる。これを3ヶ月続けると、子供は自分の課題を自分の言葉で言うようになります。それは、競技の技術とは別に、本人の中に一生残る力です。
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よくある質問(FAQ)
2択の質問にも「どっちも」「わかんない」と返ってきます。どうすればいいですか?
2択の両方を選べないのは、2択の中身が本人の実感に合っていない可能性が高いです。「前半と後半」が合わなければ、「最初のメニューと最後のメニュー」「走るやつとボール使うやつ」のように、より具体的で思い出しやすい軸に変えてください。それでも出ない日は、③「話したくない」のサインかもしれません。その日は引き下がり、翌日に回します。
低学年(小1〜小2)でも、課題を言葉にさせたほうがいいですか?
低学年は、メタ認知が発達の入口にある時期です。「課題」を言わせる必要はありません。段階1と2だけで十分で、「楽しかった? しんどかった?」「一番おもしろかったメニューどれ?」のように、感情と場面を思い出す練習を優先してください。「できなかったこと」を言わせるのは、中学年以降からで間に合います。
コーチが言っている課題と、子供が自分で言う課題が違います。訂正すべきですか?
訂正しないでください。本人が言った課題を本人が練習で試し、うまくいかなければ本人が気づきます。親が「コーチはそう言ってないよ」と上書きすると、子供は次から「正解を当てる」ために答えるようになり、自分で考えなくなります。コーチの課題は、コーチが練習で伝えます。家で親が言う必要はありません。
兄弟で、上の子はよく話すのに下の子だけ「わかんない」です。性格の問題ですか?
性格の差もありますが、よく話す上の子がいると、下の子は「どうせ兄(姉)のほうが上手に話す」と比べて口を閉じることがあります。下の子には、上の子がいない場面で、2択から聞いてください。また、上の子の話を聞くときに親が評価や助言を足していると、下の子はそれを見て「答えると採点される」と学んでいる可能性もあります。
5秒待つのが難しく、つい自分で答えを言ってしまいます。
多くの親が同じ失敗をします。コツは、質問した後に、自分の手元で何かをすることです。皿を拭く、洗濯物をたたむ、スマホを伏せて置く。目を合わせたまま5秒待つより、手を動かしながらのほうが待てます。それでも言ってしまった日は、「ごめん、今のは私が言っちゃった。もう1回聞くね」とやり直せば問題ありません。
質問を砕いても、3ヶ月たっても変化がありません。
3ヶ月は目安で、個人差があります。変化が見えない場合、確認してほしいのは2点です。1つ目は、答えが返ってきた後に評価や助言を足していないか。これがあると、質問を砕いても子供は答えを選ぶようになります。2つ目は、③「話したくない」の日に踏み込んでいないか。踏み込んだ日が多いと、話すこと自体を避けるようになります。この2点が守れていて、競技以外の会話も減っているようなら、競技とは別の負担がある可能性もあります。学校や体調の様子も合わせて見てください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療・専門的指導の代わりになるものではありません。お子さんの心身に気になる様子がある場合は、専門家にご相談ください。



