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「お母さんはわかってない」と言う子供への声かけ|反発された日の返し方【3タイプの見分け方・その場/翌日/1週間後のOK/NG例・競技未経験の親が信頼を得る方法】

2026/09/29 | 声かけ・言葉がけ

「お母さんはわかってない」「やったことないくせに」。子供のスポーツについて何か言うたびに、この一言で会話が終わる。高学年になると、多くの家庭で起きることです。

結論:「わかってない」は反抗ではなく、会話の設定が合っていないサイン

この一言は「あなたが嫌い」ではありません。多くの場合、①正論が多すぎて疲れている、②親の見立てが実際とずれている、③本当は助けてほしいのに言い方がわからない、の3タイプのどれかです。
タイプによって返し方は変わりますが、共通する最初の一手はひとつ。「そうか。どこがずれてた?」と聞き返すことです。反論しない、黙らない、聞く。ここから会話の設定を組み直します。

この記事では、3タイプの見分け方と、言われた「その場」「翌日」「1週間後」でやることをOK/NGのセリフで示します。あわせて、競技経験のない親が子供の信頼を取り戻す唯一の方法と、傷ついた親自身の立て直し方も書きました。

「お母さんはわかってない」は反抗ではなく、会話の設定が合っていないサイン

まず、この言葉をどう受け取るかを決めましょう。ここが決まらないと、何を返しても裏目に出ます。

茨城県教育委員会の家庭教育応援ナビ(小学校5・6年生向けQ&A)によると、高学年の子供は大人びた口調で文句を言ったり反抗的な態度を取ったりしても、心の中では「自分のことを分かってほしい」「親から愛されたい」と欲している時期だとされています。つまり「わかってない」は、裏返せば「わかってほしい」です。

スポーツをしている子の場合、さらに事情があります。高学年は、本人の中に「自分の競技観」ができはじめる時期です。監督の指示、チームメイトとの関係、自分の体の感覚。この3つが本人の中で組み合わさり、親が外から見ているものとは別の景色になっています。

そこに親が「もっと積極的に行けばいいのに」「なんであそこで打たなかったの」と言う。子供からすると、景色が違う人から指示されている状態です。これが「わかってない」の正体です。

だから、直すのは子供の態度ではありません。直すのは会話の設定です。「親が教える/子が聞く」の設定から、「子が説明する/親が聞く」の設定に切り替える。それだけで、この言葉は減ります。

3タイプの見分け方|正論疲れ・見当違い・助けてほしいのに言えない

同じ「わかってない」でも、中身は3種類あります。見分ける方法は、言われた直後に一つだけ質問することです。

見分けるための質問

「そっか。じゃあ、どこがずれてた?」
この一言への反応で、タイプがほぼ判別できます。

タイプ「どこがずれてた?」への反応本音親がやること
①正論疲れ「もういい」「別に」と会話を切る正しいことはわかってる。でも今は聞きたくないアドバイスを止めて、量を減らす
②見当違い「そうじゃなくて、〇〇なんだって」と説明が始まる親の見立てが事実と違う説明を最後まで聞いて、修正する
③SOS黙る/涙目になる/「わかんない」うまくいってない。でもどう言えばいいかわからない答えを出さず、そばにいる時間を作る

①正論疲れ|「わかってるけど、今は聞きたくない」

試合で動きが悪かった。本人が一番わかっています。そこに帰りの車で「もっと声出さないと」「準備が遅い」と正論が並ぶ。内容は合っています。でも本人はもう自分で自分を責めた後です。

このタイプは「もういい」で会話を切ります。反論はしません。反論する気力が残っていないからです。親が正しいほど、子供は疲れます。

②見当違い|「そうじゃなくて、〇〇なんだって」

親は「もっと前に出ればいいのに」と思っている。でも実は監督から「今日は下がって守れ」と指示されていた。親の見立てが事実と違うケースです。

このタイプは、聞き返すと説明が始まります。説明が始まったら、しめたものです。子供は「わかってほしい」と思っているから説明するのです。ここで遮らずに最後まで聞けるかどうかで、その後の関係が決まります。

③SOS|「うまくいってない。でも言い方がわからない」

レギュラーから外れそう。仲間との関係がぎくしゃくしている。自分だけ伸びていない気がする。こういう時、高学年の子は「助けて」と言えません。プライドもあるし、親を心配させたくない気持ちもあります。

代わりに出るのが「わかってない」です。聞き返すと黙るか、「わかんない」と言うか、目が赤くなります。このタイプだけは、返し方を間違えると本当に危ないので、後の章で別に扱います。

タイプ別の返し方|その場でやること・やってはいけないこと

言われた直後は、親も感情が動いています。「こっちはあんたのために言ってるのに」が喉まで出てきます。ここでの30秒が勝負です。

共通してやってはいけない3つ

  • 反論する:「わかってないのはそっちでしょ」→ 勝ち負けの会話になり、本音は永遠に出てこない
  • 実績で押す:「お母さんだって昔バレーやってた」→ 子供の競技と親の競技は別。余計に「わかってない」が強まる
  • 黙って引く:「じゃあもう何も言わない」→ 最悪の返し。理由は次の章で

①正論疲れの子への返し方

NG「わかってるなら、なんでやらないの?」
OK「そうだよね。今日はもう何も言わない。お腹すいたでしょ、ご飯にしよう」
アドバイスを止めて、生活に戻す。「言わない」ではなく「今日は言わない」と期限をつけるのがポイント。

正論疲れの子に必要なのは、正論の追加ではなく休憩です。「今日は」と区切ることで、「見放されたわけではない」ことも同時に伝わります。

②見当違いの子への返し方

NG「でも、お母さんから見たら前に出たほうがよかったよ」
OK「そうだったんだ。じゃあ、あの場面は下がる指示だったんだね。教えてくれてありがとう」
自分の見立てが間違っていたら、そのまま認める。親が修正する姿を見せることが、次も説明してくれる土台になる。

説明が始まったら、途中で口を挟まない。最後まで聞いて、自分の見立てを訂正する。これだけで、子供は「この人は聞いてくれる人だ」と設定を変えます。

③SOSの子への返し方

NG「何かあったの?先生に何か言われた?友達とケンカした?」
OK「そっか。お母さん、ちょっとわかってなかったかも。急がなくていいから、話したくなったら聞かせて」
質問攻めは逆効果。答えを引き出そうとせず、「聞く準備がある」ことだけ伝えて、隣にいる。

SOSの子は、答えを持っていません。だから質問されるほど追い詰められます。その場では扉を開けておくだけ。話してくるのは、その夜かもしれないし、3日後かもしれません。

「じゃあお母さんはもう何も言わない」がなぜ最悪の返しか

親がいちばん言いたくなる一言が、これです。傷ついた気持ちを守るための言葉でもあります。でも、子供の側から見ると意味が変わります。

子供が言ったのは「わかってほしい」でした。それに対して「もう何も言わない」は、「わかろうとするのをやめる」という宣言です。子供は、自分の一言で親が降りたと受け取ります。

しかもこの言葉は、次の日から効きます。子供が何か話しかけようとした時、「でもお母さん、もう何も言わないって言ったし」というブレーキになります。会話の設定が「話さない」で固定されてしまう。

さらに厄介なのは、たいてい親はその後、また言ってしまうことです。「言わないって言ったのに、また言ってる」。子供の中で、親の言葉の重さが一段下がります。

NG「じゃあお母さんはもう何も言わない。好きにしなさい」
OK「今日は言わないけど、聞きたくなったらいつでも言って」
「言わない」を宣言するなら、必ず「聞く」をセットにする。降りるのではなく、役割を変えるだけ。

過干渉から急に「見守り」に切り替えると子供が動かなくなる、という現象も同じ構造です。詳しくは口出しをやめたら動かなくなった時の記事で扱っています。

練習を観察する親

競技経験のない親が信頼を得る唯一の方法|技術ではなく「観察」を返す

「やったことないくせに」と言われると、多くの親は2つの道に分かれます。技術を勉強して言い返せるようになるか、何も言わなくなるか。どちらも、うまくいきません。

技術を勉強しても、監督やコーチには勝てません。子供もそれを知っています。中途半端な技術論は「YouTubeで見たんでしょ」で終わります。

競技経験のない親が唯一、監督にもコーチにも勝てる領域があります。その子だけを、ずっと見ていることです。

「評価」ではなく「観察」を返す

評価は「良かった/悪かった」「もっとこうすべき」という判断です。観察は「こう見えた」という事実です。子供が反発するのは評価であって、観察ではありません。

評価(反発される)観察(受け取られる)
「今日は動きが悪かった」「後半、足が止まる場面が2回あった気がする」
「もっと声を出さないと」「1本目は声出てたけど、3本目から聞こえなくなった」
「あそこは打つべきだった」「あの場面、一瞬迷ったように見えた。何か考えてた?」
「先週より良くなった」「先週は助走が3歩だったのが、今日は4歩になってた」

観察には正解も不正解もありません。だから「わかってない」と言われようがない。「そう見えたんだ」で終わりです。そして観察が正確なら、子供は驚きます。「見てたんだ」と。

この積み重ねが、競技未経験の親が信頼を得る唯一のルートです。技術は教えられなくても、「この人は自分をちゃんと見ている」という信頼は、どんな親でも作れます。

観察の精度を上げる3つのコツ

  1. 数字を入れる:「何回」「何本目」「前半/後半」。数字は評価にならない
  2. 変化を見る:「先週と比べて」「1本目と3本目で」。変化は本人が気づいていないことが多い
  3. 疑問形で終える:「〜に見えたけど、どうだった?」。答えは本人に渡す

翌日の声かけ|1日置いてから効く言い方

言われた日の夜に、あれこれ言わない。これは決めておきましょう。試合直後に親が口出ししない「24時間ルール」という考え方があり、こちらの記事で詳しく書いています。感情が落ち着いた翌日に、短く一言だけ返します。

翌日の目的は「会話の設定を変えたことを伝える」ことです。長く話す必要はありません。

翌日のOK/NG例

NG「昨日はごめんね。でもお母さんも心配で言ってるんだよ」
OK「昨日の「わかってない」、たぶん当たってると思う。お母さん、見てるつもりで見えてなかったかも」
「でも」を付けた瞬間、謝罪が言い訳に変わる。「でも」なしで終える。
NG「今度の練習、ちゃんと見てるからね」
OK「今度の練習、お母さん何も言わずに見てていい?見て気づいたことだけ、後で1個言うから」
「何も言わずに見る」+「後で1個だけ」。量の上限を先に宣言すると、子供は安心して見せられる。

翌日にやるのは、この2つのどちらかで十分です。両方言わなくていい。子供の反応が薄くても、それで正常です。翌日の一言は、種まきです。

言い過ぎてしまった夜の謝り方については、言い過ぎたと後悔した夜の記事に例文をまとめています。

1週間後にやる「聞き役の再設定」

その場と翌日をしのいでも、根本の設定が変わらなければ、また「わかってない」は出ます。1週間後に、会話の役割を正式に組み直します。

再設定の手順

  1. 場所を決める:帰りの車や食卓など、毎回同じ場所にする。「ここでは聞く」を習慣にする
  2. 最初の質問を固定する:「今日、いちばん自分でよかったと思うところは?」。毎回この一問から始める
  3. 親の発言量を決める:子供が話した後、親は「観察1個」だけ。アドバイスは本人が求めた時だけ
  4. 求められたら、答える:「どう思う?」と聞かれたら、そこで初めて意見を言う。ただし短く

ポイントは「最初の質問を固定する」ことです。毎回違う質問をされると、子供は身構えます。同じ質問なら、答えを準備できる。準備できると、話す量が増えます。

子供が試合のことを話さない時の聞き方は、こちらの記事でさらに具体的に扱っています。

再設定を宣言する一言

NG「これからはお母さん、ちゃんと聞くようにするから、あなたもちゃんと話してね」
OK「これからは、お母さんは先に言わないことにする。聞かれたら言う。それでいい?」
子供に条件を課さない。変えるのは親の側だけ。「それでいい?」で本人に決めさせる。

親が傷ついた時の立て直し方|あなたも疲れている

ここまで「親がやること」ばかり書いてきました。でも、正直に言えば、「わかってない」と言われて平気な親はいません。送迎して、弁当を作って、応援して、その結果がこの一言。傷つくのは当然です。

親自身の立て直しを飛ばすと、翌日の一言も、1週間後の再設定も、無理をして演じることになります。演技は子供に伝わります。

自分に言う3つの言葉

  • 「言われるのは、まだ話す気があるから」:本当に見放している子は、何も言いません。「わかってない」は、まだ会話の中にいる証拠です
  • 「今日の一言で関係は決まらない」:親子の会話は何千回とあります。今日の1回で全部が壊れることはありません
  • 「わかってなくていい」:親の役割は、競技を理解することではなく、その子を見続けることです。わからなくても、見ることはできます

配偶者や、同じチームの保護者に「今日『わかってない』って言われた」と話すのも有効です。たいてい「うちも」と返ってきます。それだけで、自分が悪い親ではないことが確認できます。

反抗期でやる気が落ちた時の関わり方全般は、反抗期の親の関わり方の記事で扱っています。

OK/NG声かけ例|場面別まとめ

ここまでのセリフを場面別に整理します。とっさの時は、この表を思い出してください。

場面NGOK
言われた直後「わかってないのはそっちでしょ」「そっか。どこがずれてた?」
正論疲れの子に「わかってるならやりなさい」「今日はもう言わない。ご飯にしよう」
見当違いだった時「でもお母さんから見たら…」「そうだったんだ。教えてくれてありがとう」
SOSっぽい時「何があったの?誰かに言われた?」「話したくなったら聞かせて」
引きたくなった時「もう何も言わない。好きにして」「今日は言わない。聞きたくなったら言って」
競技経験がない時「お母さんだって昔やってたから」「3本目だけ助走が違って見えた」
翌日「ごめんね。でも心配で…」「たぶん当たってると思う」(「でも」なし)
1週間後「ちゃんと話してね」「先に言わないことにする。それでいい?」

今日からできる3つの行動

  1. 「どこがずれてた?」を用意しておく:次に言われた時の第一声を、今決める。とっさに出るように、口に出して練習しておく
  2. 次の練習で「観察を1個」だけメモする:数字か変化を入れた観察を1つ。帰り道に、疑問形で1回だけ言う
  3. 「もう何も言わない」を禁句にする:言いたくなったら「今日は言わない」に置き換える。紙に書いて冷蔵庫に貼ってもいい

よくある質問(FAQ)

「お父さんはわかってない」と父親に言う場合も同じ対応でいいですか?

基本は同じです。ただし父親の場合、競技経験があるケースが多く、「見当違い」ではなく「正論疲れ」が起きやすい傾向があります。技術的に正しいことを言えば言うほど、子供は疲れます。父親こそ「評価ではなく観察」に切り替える効果が大きいです。

聞き返しても「別に」「知らない」しか返ってきません。

それは①正論疲れか③SOSのどちらかです。その場で引き出そうとせず、「わかった。話したくなったら聞くね」で終えてください。翌日以降に、練習を黙って見て「観察を1個」返す。これを2〜3週間続けると、子供のほうから話し始めることが多いです。すぐに結果を求めないのがコツです。

反抗期だから仕方ない、と放っておいてもいいですか?

「放っておく」が「何も言わない」だけなら、おすすめしません。子供は「見放された」と受け取ります。おすすめは「言わないけど、見ている」状態です。口を出さない代わりに、練習や試合を見て、観察を短く返す。これは放置ではなく、役割の変更です。高学年は自我が育つ時期なので反発自体は自然なことですが、親の関わりをゼロにする理由にはなりません。

親が本当に競技を知らないので、観察すら的外れになりそうです。

的外れでも構いません。観察は「こう見えた」という事実なので、間違っていたら子供が訂正してくれます。その訂正が、子供が自分の競技を言葉にする練習になります。「3本目だけ違って見えたけど、気のせい?」と疑問形にしておけば、外れても会話は続きます。

「わかってない」と言われた後、こちらが泣いてしまいました。子供に悪影響ですか?

一度泣いたことで関係が壊れることはありません。ただ、繰り返すと子供は「本音を言うと親が泣く」と学び、何も言わなくなります。翌日に「昨日は泣いちゃったけど、あなたのせいじゃない。言ってくれてよかった」と一言添えてください。親も感情があると示すこと自体は悪いことではありません。

兄弟で比べてしまい、「お兄ちゃんはわかってた」と言ってしまいました。

比較は、子供にとって「わかってない」の最大の証拠になります。言ってしまったら、翌日に「昨日お兄ちゃんの話を出したのは、お母さんが間違ってた。あなたはあなただから」と訂正してください。訂正する姿を見せることが、この記事全体で伝えたい「親が修正する」の実践です。

まとめ|「わかってない」は、わかろうとする入口

  • 「お母さんはわかってない」は反抗ではなく、会話の設定が合っていないサイン
  • ①正論疲れ ②見当違い ③SOSの3タイプ。「どこがずれてた?」で見分ける
  • 「もう何も言わない」は最悪の返し。「今日は言わない、聞きたくなったら言って」に置き換える
  • 競技未経験の親は、技術ではなく「観察」を返す。数字・変化・疑問形
  • 翌日は「でも」なしで一言、1週間後に聞き役の再設定
  • 親自身も傷ついている。「言われるのは、まだ話す気があるから」と自分に言う

子供が「わかってない」と言うのは、まだ「わかってほしい」と思っているからです。その気持ちがあるうちに、会話の設定を変えましょう。競技のことはわからなくても、その子を見続けることは、あなたにしかできません。

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参考:茨城県教育委員会「家庭教育応援ナビ 子育て相談Q&A(小学校5・6年生)」/文部科学省「子どもの徳育に関する懇談会」審議の概要(発達段階ごとの特徴)

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療・専門的指導の代わりになるものではありません。お子さんの心身に気になる様子がある場合は、専門家にご相談ください。