「もっと声を出して」「なんで今のミスしたの」。良かれと思った一言が、毎回ダメ出しになっていないでしょうか。この記事の結論はシンプルです。課題を伝える前に、まず1つ具体的に褒める。これだけで、同じ内容でも子供への伝わり方は大きく変わります。ダメ出しをゼロにする必要はありません。大事なのは「順番」と「伝え方」です。

結論:ダメ出しの前に「1つ褒める」が伝わる順番
親が課題を指摘したくなるのは、子供に伸びてほしいからです。その気持ちは間違っていません。ただ、開口一番に「ダメだったところ」から入ると、子供の耳は閉じてしまいます。
人は、否定から始まる話を「攻撃」と感じます。先に良い点を認められると、心が開き、そのあとのアドバイスを「自分のための助言」として受け取れます。順番を変えるだけで、伝えたい中身は同じでも結果が変わるのです。
まずは今日から、こう言い換えてみてください。
- NG:「なんで今のパス出さなかったの」
- OK:「最後まで走り切ってたね。次あの場面でパス見えたら、もっと良くなりそう」
ダメ出しが子供に与える3つの悪影響
「言わないと分からない」と思っていても、ダメ出しが続くと逆効果になることがあります。代表的な3つを押さえておきましょう。
1. スポーツが楽しくなくなる
日本テレビ運営のドリームコーチング(DCマガジン)によると、練習や試合で気になった点を細かく並べ立てると、子供本人にはダメ出しとしか感じられず、スポーツそのものが楽しくなくなってしまうといいます。外から見ている親は気楽に言えますが、子供は緊張の中で本人なりに精一杯やっています。「楽しい」が消えると、上達の土台ごと崩れてしまいます。
2. 自己肯定感が下がる
「下手だね」「またミスした」といった否定的な言葉は、親が思う以上に子供の心に残ります。否定を浴び続けた子は、「自分はできない」という思い込みを強めていきます。自己肯定感はチャレンジする力の源です。ここが削られると、難しい場面で挑戦を避けるようになります。
3. 親に本音を話さなくなる
「どうせ言われる」と感じた子供は、試合の話を避けるようになります。会話が減れば、親が子供の悩みに気づくチャンスも減ります。ダメ出しは、子供を伸ばすどころか、いちばん大切な親子の信頼を静かに削っていくのです。
親が「ダメ出し」をやめられない心理
やめたほうがいいと分かっていても、つい口が出る。それには理由があります。自分を責める前に、まず仕組みを知りましょう。
- 期待が大きい:応援のつもりが、いつの間にか「勝ってほしい」「レギュラーに」という親の願いにすり替わっている。
- 不安の裏返し:「このままで大丈夫か」という心配が、指摘という形で出てしまう。
- 良い点は当たり前に見える:できていることはスルーし、できていないことだけが目につく。
どれも、子供を思うからこそ起きる心理です。だからこそ、気合で我慢するより「型」を持つほうが続きます。次の章で具体的な型を紹介します。

信頼を壊さない伝え方「事実→質問→提案」の順
課題を伝えるときは、3ステップの順番を守るだけで角が取れます。覚え方は「事実→質問→提案」です。
- 事実:見たことをそのまま言う。「後半、足が止まってたね」(評価や決めつけは入れない)
- 質問:本人に考えさせる。「自分ではどう感じた?」
- 提案:命令ではなく選択肢で渡す。「次は前半ペース落としてみるのもアリかもね」
この順番が効くのは、子供が「責められた」ではなく「一緒に考えてもらえた」と感じるからです。DCマガジンも、上から目線のアドバイスではなく「今日はどうして負けたと思う?」と子供自身に考えさせる質問が、子供を伸ばす親の特徴だと指摘しています。質問を挟むことで、子供は自分の意見を大切にされていると感じます。
もう一つ有名なのが「サンドイッチ話法」です。良い点→アドバイス→期待、の順で課題を挟みます。「よく走れてたね(良い点)。あの場面パスが見えるともっと良いね(助言)。次の試合が楽しみだよ(期待)」という形です。同じ指摘でも、挟むだけで前向きに届きます。
OK/NGの言い換え例【プレー・態度・結果】
場面ごとに、そのまま使える言い換えをまとめました。NGをOKに置き換えるだけで、伝わり方が変わります。
プレーについて
- NG:「なんであそこでシュート打たないの」
OK:「ゴール前まで運べてたね。最後どうしようか迷った?」 - NG:「動きが遅い」
OK:「出だしの一歩、自分ではどう思う?」
態度・取り組みについて
- NG:「やる気あるの?」
OK:「今日は声が少なかったかな。何かあった?」 - NG:「練習が足りないからだ」
OK:「もっと伸ばしたいところ、どこだと思う?」
結果について
- NG:「また負けたのか」
OK:「悔しかったね。今日できたことを1つ挙げるなら?」 - NG:「〇〇くんはできてたよ」(他人と比較)
OK:「前より〇〇が良くなってたよ」(過去の本人と比較)
ポイントは、他人やきょうだいと比べないこと。比べるなら「過去のその子」とです。成長を軸にすると、子供は安心して次へ進めます。
それでも言いたくなった時のセルフコントロール
頭では分かっていても、口が動いてしまう瞬間があります。そんな時のための「今日からできる行動」を3つ紹介します。
- 6秒待つ:言いたくなったら、口を開く前に心の中で6秒数える。怒りの初期衝動は数秒でピークを越えます。
- 「3つ褒めて1つ伝える」を決める:1日に指摘するのは1つまで。代わりに良かった点を3つ言葉にする、と自分ルールを作る。
- 役割を分ける:技術はコーチ、家では応援団。「教える人」を降りると、肩の力が抜けます。
日本スポーツ協会は、指導の現場で暴言や否定をなくし、プレーヤー(選手)を中心に据える「グッドコーチ」のあり方を掲げています。これは家庭でも同じです。親が「勝たせる人」から「安心して挑戦できる土台をつくる人」へ役割を移すと、ダメ出しは自然と減っていきます。
ダメ出しを全くしないと、子供は上達しないのでは?
課題を伝えること自体は悪くありません。問題は「順番」と「伝え方」です。良い点を先に認めてから課題を質問形式で渡すと、子供は前向きに受け取れます。技術指導はコーチに任せ、家庭では努力や工夫を認める役割に徹すると、親子関係を保ったまま成長を支えられます。
つい試合の帰り道にダメ出ししてしまいます。どうすれば?
試合直後は子供も親も感情が高ぶっています。気づいた課題はその場で言わず、まず「お疲れさま」とだけ伝えましょう。指摘したいことはメモしておき、翌日以降に子供が落ち着いてから「あの場面どう思った?」と質問の形で切り出すのがおすすめです。
ダメ出しをやめたら子供が調子に乗らないか心配です。
褒めることと甘やかすことは別物です。結果ではなく努力や挑戦した過程を具体的に認めるほめ方なら、子供は慢心せず次の課題に向かいます。事実を一緒に振り返り、本人に改善策を考えさせれば、自分で伸びる力が育ちます。
きょうだいでつい比較するダメ出しをしてしまいます。
他人やきょうだいと比べる言葉は、子供の自己肯定感を最も下げやすいNG声かけです。比べるなら過去の本人と比べましょう。「前より〇〇できるようになったね」と成長を軸にすると、子供は安心して挑戦を続けられます。
子供が『どうせ言われる』と話してくれなくなりました。
ダメ出しが続くと、子供は会話そのものを避けるようになります。まずは1〜2週間、指摘をぐっと我慢し、話を最後まで聞くことに専念してみてください。否定されない安心感が戻ると、子供は再び自分から試合の話をするようになります。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療・専門的指導の代わりになるものではありません。お子さんの心身に気になる様子がある場合は、専門家にご相談ください。


