結論から言います。試合中の親の「指示出し」と「ダメ出し」は、子供を萎縮させ、プレーを乱します。応援で大切なのは、勝たせることではなく、子供が安心して力を出せる空気をつくること。この記事では、親がやりがちなNG行動と、力を引き出す声かけをOK/NG例で具体的に紹介します。夏の大会前にぜひチェックしてください。

親の応援が逆効果になる「3つの瞬間」
良かれと思った応援が、子供の足を引っ張ることがあります。とくに次の3つの瞬間は要注意です。
① プレー中に指示を出した瞬間
「右!」「シュート打て!」。観客席からの指示は、子供の判断をうばいます。子供は親の声を気にして、プレーに集中できません。
サッカーの現場では、ピッチ外からの指示は「サイドコーチ」と呼ばれ、多くの大会要項で禁止されています。親が良かれと思っても、ルール違反になることがあるのです。
② ミスにため息をついた瞬間
「あ〜あ」という声や、大きなため息。言葉にしなくても、子供には伝わります。「またガッカリさせた」と感じ、次のプレーが怖くなります。
③ 周りに聞こえる声でダメ出しした瞬間
「なんでできないの」。チームメイトや他の保護者に聞こえる場所でのダメ出しは、子供にとって一番つらい瞬間です。恥ずかしさで頭が真っ白になります。
観戦中にやりがちなNG行動ワースト5
親自身は気づきにくいものです。試合を思い出しながら、当てはまるものがないか確認してみてください。
第5位:他の子と比べる
「〇〇くんは上手いね」。比較はやる気をうばう代表格です。
第4位:審判の判定に文句を言う
「今のはファウルだろ!」。子供は親の姿に強い影響を受けます。
第3位:相手チームをヤジる
勝ち負け以前に、スポーツマンシップが伝わりません。
第2位:プレーへの指示出し
前述のサイドコーチです。自分で考える力を奪います。
第1位:周りに聞こえる声でのダメ出し
萎縮させる影響が最も大きい行動です。
✓ 今日からできること
- この5つのうち、自分がやりがちなものを1つだけ選ぶ
- 次の試合は「その1つをやらない」とだけ決めて観戦する
【OK例/NG例】試合中・試合後の声かけ
具体的なセリフで見てみましょう。同じ場面でも、言い方ひとつで子供の受け取り方は大きく変わります。
試合中の声かけ
試合中は「短く・ポジティブに」が鉄則です。長い言葉は届きません。
◎ OK声かけ
- 「ナイスチャレンジ!」(果敢に仕掛けた時)
- 「ドンマイ、切り替えよう!」(ミスの直後)
- 「いいぞ、その調子!」(うまくいった時)
- 拍手だけ送る(言葉に迷ったら)
× NG声かけ
- 「何やってるの!」(萎縮させる)
- 「右にパス!」「前に走れ!」(指示・サイドコーチ)
- 「ちゃんと走れ!」(ダメ出し)
- 「だから言ったでしょ」(後出しの否定)
試合後(勝った時)の声かけ
勝った時こそ、結果より中身に目を向けます。
◎ OK声かけ
- 「最後まであきらめなかったね」
- 「ディフェンス頑張ってたね、見てたよ」
- 「楽しかった?」
× NG声かけ
- 「勝てて当然だよ」
- 「次も勝たないとね」(プレッシャー)
- 「あのミスがなければ完璧だったのに」
試合後(負けた時)の声かけ
負けた直後は、アドバイスより共感を優先します。
◎ OK声かけ
- 「悔しいよね。その気持ち、大事だよ」
- 「最後まで走りきってたね」
- 「お疲れさま。何か食べて帰ろうか」
× NG声かけ
- 「だから練習しろって言ったでしょ」
- 「あそこでシュート外さなければ…」
- 「気持ちが足りないんだよ」
✓ 今日からできること
- 試合後の第一声を「お疲れさま」に決めておく
- アドバイスは家に帰って、子供から聞かれたときだけにする
コーチの指導と親の応援の「線引き」
「どこまで声をかけていいの?」と迷う親は多いはずです。判断基準はシンプルです。
技術や戦術の話は、コーチに任せる。親は「応援」に徹する。これが線引きです。
日本サッカー協会(JFA)が保護者向けに公開しているハンドブック『めざせ!ベストサポーター』には、こう書かれています。
コーチはコーチに任せる。レフェリーはレフェリーに任せる。プレーは子どもたちに任せる。私たちは応援し、見守る。
日本サッカー協会『めざせ!ベストサポーター』
JFAは「自分で考えてプレーできる選手の育成」を掲げています。親の指示は、その学びの邪魔になってしまうのです。練習でコーチが教えたことと、親の声が食い違えば、子供は混乱します。
迷ったら、こう考えてください。「これはコーチの仕事? それとも応援?」。技術・戦術ならコーチの領域。気持ちを支える言葉なら、親の出番です。
他の保護者・審判・相手チームへの配慮マナー
応援は、わが子だけに向けるものではありません。周囲への配慮が、結果的にチーム全体の雰囲気を良くします。
審判を尊重する
判定への不満を口にしないこと。子供たちはコーチから「審判の判定を尊重する」と教わっています。親がそれを崩してはいけません。
相手チームの良いプレーにも拍手を
JFAは「相手も大切な仲間」と伝えています。相手の好プレーに拍手できる親の姿は、子供にスポーツマンシップを教えます。
他の保護者への気配り
観戦の場所取り、応援の声量、駐車マナー。初対面でも、まず会釈を。小さな気配りが、チームの居心地を決めます。
✓ 今日からできること
- 相手チームのナイスプレーに、試合中1回は拍手してみる
- 審判の判定には、どんな時も口を出さないと決める
まとめ:応援の主役は子供
親の応援は、子供のためのものです。勝たせるためでも、親が満足するためでもありません。
指示やダメ出しを手放し、「見てるよ」「ナイスチャレンジ」と気持ちを支える。それだけで、子供は安心して力を出せます。夏の大会、まずは1つのNG行動をやめることから始めてみてください。
試合中、つい大きな声で指示してしまいます。どうすれば?
「指示」を「応援」に置きかえる練習をしましょう。「右にパス!」を言いたくなったら、ぐっとこらえて「ナイス!」「いいぞ!」に変えます。最初は拍手だけでも十分です。指示はコーチの役割、と心の中で線を引いておくと、自然と減っていきます。
審判の判定に納得できない時、どう振る舞えばいいですか?
その場では一切口に出さないのが正解です。子供はコーチから「審判を尊重する」と教わっています。親が判定に文句を言うと、その教えが崩れ、子供も審判や相手を責める癖がつきます。疑問があれば、試合後にコーチへ静かに確認しましょう。
おとなしい子なので、もっと熱く応援して奮い立たせたいのですが?
熱量より「安心感」を優先してください。大声の檄は、内気な子をかえって萎縮させることがあります。効果的なのは、目が合った時にうなずく、笑顔を見せる、「見てるよ」と短く伝えること。安心している子のほうが、思いきったプレーができます。
試合後すぐに反省点を伝えるのは良くないですか?
直後は避けましょう。負けた直後の子供は、まだ気持ちの整理がついていません。そこへアドバイスが入ると、否定されたと感じます。まずは「お疲れさま」「悔しかったね」と共感を。技術の話は、子供から聞かれたとき、または翌日以降にしましょう。
親が応援に行かない方が、子供は力を出せるのでしょうか?
一概には言えません。多くの子は親に見ていてほしいものです。問題は「来るかどうか」ではなく「どう応援するか」です。指示やダメ出しをせず、温かく見守れるなら、親の存在は大きな支えになります。観戦が負担なら、無理のない範囲で構いません。
サイドコーチは本当にルール違反なのですか?
多くのサッカーの大会要項で、ゴール裏やタッチライン沿いからの指示(サイドコーチ)は禁止されています。目に余る場合はチームが注意を受けることもあります。野球など他競技でも、観客席からの指示は同様に好ましくないとされています。応援に徹するのが安全です。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療・専門的指導の代わりになるものではありません。お子さんの心身に気になる様子がある場合は、専門家にご相談ください。



